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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第七十九話 フェザーン謀略戦(その1)
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。聞いた事は有ります、あれってバリステックナイフって言うんだ、でも私に使えるかどうか……。
私が不安に思っていると
「クロスボウはどうしますか」
「全員が持つ必要はないが多少は用意した方が良いだろう」
とリンツ中佐とシェーンコップ准将が話しています。どうしよう、私が悩んでいると提督の声が聞こえました。
「ミハマ中佐もナイフとブラスターは持ってください。ですが実際に使う事は無いでしょう。中佐にはビデオを録画してもらいます」
「ビデオ、ですか」
「ええ、私とルビンスキーの会談を録画してください。後々、証拠になりますからね」
正直ホッとしました。慣れないナイフなんて使いたくありません。そう思っていると提督がクスクス笑い出しました。
「大根もまともに切れない女性にナイフは使わせませんよ」
「大根ぐらい切れます!」
提督の笑いは益々大きくなりました。
「そうですか、でも魚の三枚おろしは出来ない、そうでしょう?」
「……それは」
痛いです。とっても痛いところを突かれました。気が付くと皆が憐れむような目で私を見ていました。
なんで皆そんな目で私を見るんです! 私だって何度も挑戦したんです。でも私がやるとどうしても中骨に肉が多く付いてしまって……。母には何時もそれで溜息を吐かれました。
“女の子が余ってるっていうのに……。まあ、あんたみたいな女の子がいるからスーパーで魚をさばく仕事が有るのよね……”
「ハイネセンに戻ったら私が教えてあげますよ」
「……」
「遠慮する事は有りません。三枚おろしは基本ですからね、それが出来ればどんな魚でも下ろせます。好きな男性に魚料理を作ってあげられますよ」
「……はい、お願いします」
ついでにクッキーも教えて貰おう。
「提督、地上車にはサンルーフが有りますな」
「ええ、ロケットランチャー、狙撃用ライフル、自動小銃、必要なものを用意してください」
「了解しました、手榴弾も用意しましょう」
頭が痛くなりました。二人とも遠足にでも行くように楽しそうに話しています。でも話の内容はどう見ても市街戦、カーチェイス、銃撃戦を想定しています。自分がそれに巻き込まれる? 今一つ実感が湧きません。念のため、念のためよ。提督は用心深いんだから……。
宇宙暦 795年 9月16日 フェザーン エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
予定通りベリョースカ号は九月十六日、八時にフェザーンに着いた。宇宙港の特別区画にはこれも予定通りヴィオラ大佐が五人の部下と待っている。彼らはベリョースカ号が到着すると早速船に乗り込んできた。
「お待ちしていました、ヴァレンシュタイン提督」
「ご苦労様です、今日は宜しくお願いします」
互いに敬礼をして挨拶をする。前に会っ
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