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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第七十九話 フェザーン謀略戦(その1)
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督はどういう御関係なのです」
私が問いかけると嬉しそうに顔を綻ばせました。質問を待ってた?
「幼馴染ですよ。ヤンの父親は交易商人で彼は幼い頃は父親と一緒に交易商船に乗っていたんです。フェザーンにも良く来ました」

懐かしそうです、いいなあ、幼馴染か……。
「まあ他にも従兄弟が同盟にいます。軍人になったと聞いていますが……」
「イワン・コーネフ大尉ですか」
提督が問いかけるとコーネフ船長が驚いたように提督を見ました。え、そうなの、コーネフ大尉が従兄弟?

「ええ、そうです。提督はご存知ですか」
「私の艦隊に居ますよ、優秀なパイロットです」
「そうですか」
「大尉の事はミハマ中佐も良く知っていますよ」

提督の言葉にコーネフ船長が私を見ました。ちょっと困惑です、コーネフ大尉の事は知っています。ポプラン大尉と何時も一緒にいるのです。二人とも非常に優秀なパイロットで艦隊ではエースの称号を持っています。

問題はポプラン大尉が今でも時々私に声をかけてくることです。私は全部断っていますけどその度にコーネフ大尉がポプラン大尉を笑っています。提督もそれを知っているから私が良く知っているなどと言うのでしょう。相変わらず性格が悪いです。

「色々と縁が有りますね、ヴァレンシュタイン提督」
「そうですね」
コーネフ船長もヴァレンシュタイン提督も嬉しそうに話しています。船長、騙されちゃ駄目です。でももう遅いみたい……。あんなにニコニコして……。

「さて、私は艦橋に戻らせていただきます。何か有りましたら声をかけてください」
船長の言葉に提督が笑顔で答えるとコーネフ船長も笑みを浮かべてから食堂を出ていきました。

コーネフ船長がいなくなると提督は笑みを消しました。ベリョースカ号に移ってからの提督は巡航艦パルマに居た時とは違います。無口、無表情で周囲と目を合わせようとしません。今も視線を落とし例のコンパクトを見ています。シェーンコップ准将がそんな提督をじっと見ていましたが静かに問いかけました。

「ゼッフル粒子の発生装置ですか」
提督が黙って頷きました。ゼッフル粒子! ちょっと何でそんなもの……。慌てて皆を見ましたがローゼンリッターのメンバーは誰も驚いていません。顔を見合わせ頷いています。ちょっと気を削がれました。

「そろそろ閣下の御考えを聞かせてください。閣下から我々にあった命令は護衛をしろ、装備は市街戦を想定した物を用意しろとの事でした。ゼッフル粒子を用意するという事はかなり危険という事でしょう。アドリアン・ルビンスキーと接触するというのは分かっています。他には何を?」
「……」

食堂の空気がピンと張りつめました。皆が提督に視線を向けています。ですが提督は気付かないかのようにコンパクトを触っていました。
「自治
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