戦いの前
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、人は皆笑顔で暖かかった。
そんな楽園が、一夜にして地獄と化したのだ。精神汚染された人は、その大多数が再起不能になり、炎で灰すら残さずに焼かれた人も数多くいるので、未だに被害の全容が判明していない。
錯乱しながら家族をメッタ刺しにしていた父親。
最早、黒い炭としか認識出来ない程に焼かれた娘に、泣きながら抱きつく母親。
兄弟同士で殺し合っていた家族もあったし、動物だって例外では無く、自殺したり共食いしたり。
正しく、あの島は現代に出現した地獄だったのだ。
「あの光景を生み出したアイツを、俺は許せない。」
あの光景を生み出した、という点では、ナイアーラトテップも同様なのだが、彼女は既に護堂の手によって殺されている。おまけに、彼女はやろうと思ってやった訳ではなく、権能を制御出来ないが故にああなったのだ(人間が死ぬことを何とも思っていないのは変わらないのだが。彼女が権能を止めたかったのは、護堂を生き残らせる為)。更に言うなら、クトゥグアは従属神二柱も召喚しており、そちらでも精神汚染や、北極や南極並みの寒冷被害を出している。被害者は、いくら低く見積もっても数百万人。いくらまつろわぬ神とは言え、近年の事例の中ではとびきり被害が大きいのだ。
「・・・これ以上、黙って見ている気はないぜ。俺と戦いたいっていうなら、いくらでもやってやる。そして、叩き潰してやるよ。」
その二柱は、自身の宿敵を倒した草薙護堂と一対一で戦うため。その為に、元々無関係だった国の人間まで犠牲にしたのだ。その落とし前は付けさせてもらうと、護堂は心の中で吠えた。
「ただ、クトゥグアが劣勢になった場合、召喚された従属神がどういう対応をしてくるか分からないのが怖いんだよねぇ・・・。もしかしたら、クトゥグアを助けに来るかも知れないし。そうなったら、私たちで迎撃するけど・・・やっぱり、キモになるのは精神汚染の権能。アレにどれだけ耐えられるか、分からないからねぇ・・・。」
この権能さえ無ければ、彼女は溜まりに溜まった鬱憤を晴らすために、今すぐにでも殲滅しに行く気なのだが。やはり、主導権を握れないというのは、彼女にとって相当なストレスになっているようだった。人生は、自分で面白くするというのが信条の彼女にとって、昔のようにただ流されるだけの状況は苛立たしいものがあるのだろう。
「・・・まぁ、不安要素ばかりを詰め込んでもしょうがないか。取り敢えずやってみる。何かあったら、臨機応変に対応ってことで!君と私たちなら、出来る出来る!」
どうにもテンションの上がらない自分自身に喝を入れて、戦いへと赴く護堂へと手を伸ばす。この手を取れば、次の瞬間にはクトゥグアの前だ。それを理解する護堂の心の準備は、既に整っている。彼は、迷うことなくその手を
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