ある約束の戦い (前)
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
宣言と同時に無数の綱糸がアルシェイラに襲い掛かる。
「ふんっ」
全身から衝剄を放ち弾き返す。その影響で大気も暴風の如く荒れ狂うがその隙間を縫うようにして静かに綱糸が侵入してくる。
「全く面倒ね」
綱糸をつかみとるが全てを防ぐことはできず足首を絡め取られる。
すぐに引き離そうとするもそれより早く綱糸がたわみ、アルシェイラを投げ捨てる。
無論叩きつけられるような無様を晒す事などなく、空中で姿勢を立て直して着地する。
続けざまに襲い来る刺突の嵐をかわしながら接近、綱糸の壁を殴りつけようとするがその絡まりをほどいて掴ませることをしない。
ならばとそのまま本人に向けて衝剄を飛ばせば複雑な模様を描き受け止められる。
「やっぱりいいわね、汚染獣どもと比べるのはアレだけど遥かに楽しいわ」
「武芸者の本分は汚染獣を倒すことだ」
愉しそうに口元を緩めるアルシェイラに対し、リンテンスは素っ気ない返事を返す。
「だが、悪くはない」
その言葉と共に凄まじい勢いで面を切り裂くように綱糸の群れが襲い掛かる。
かわした先には塊があった。
外力系衝剄の変化、繰弦曲・跳ね虫。
相手の体内に侵入させて内部から切り刻む技だがアルシェイラにそんなことをさせる積もりはない。
その塊を殴って弾こうとする。が衝突の瞬間固く絡まっていた綱糸が結束を解き、アルシェイラを包み込もうとする。慌てて衝剄を放ち綱糸を防ぐが一瞬でも遅れれば少なくとも全身に傷を負っていただろう。
「危ないわね、この絶世の美貌に傷がついたらどうしてくれんのよ」
「知らん、戦場でそんなこと気にするものか」
背中に一筋の冷や汗を流しながらも軽口は止めない。
「全く厄介なんだから。仕方ない」
両手を銃の形にして向けると人差し指から交互に衝剄を放つ。とはいってもその剄量は膨大なもので並みの武芸者の出せる威力を遥かに超えたものが連射される。
(剄量で言えば私が負ける筈が無いんだけどなぁ。天剣は簡単に壊れないし、捕まったら終わりよね)
対するリンテンスはそれを正面から受け止めることはせず、綱糸の壁に僅かな角度をつけ逸らしていく。
地面が衝剄で抉られるがリンテンス自身は何事もないかのように衝剄の影響を受けていない。
(全く衝剄は受け止められるし下手に触ると引き剥がす前に斬られちゃうし、やっぱりこれで行くしかないかしら)
ある程度距離をとると剄を練ることに専念する。リンテンスも何を思ったか鋼糸を襲い掛からせようとはせず更に距離をとる。
「リン、死ぬんじゃないわよ」
膨大な剄が体を巡り、身じろぎするだけで、声を出すだけで空気の波に乗った剄が辺りを破壊していく。
右腕に乗せられ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ