第四十話 少年期【23】
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令官から家族の話を聞くことが多かった気がする。手作りのお弁当だったり、家族写真を見せてもらったり…』
副官さんは最近のことを思い出すかのように話をする。内容を聞いていると、おじいちゃんがただじじバカをこじらせているだけな気もするが、副官さんとお孫さんは年が近いって聞いているから、もしかしたら重ねていたのかもしれない。話の方もお孫さん関連が多いし。
「副官さん、仕事ばっかりしているから余裕がなくなるんですよ。もっとリラックスしていきましょう」
『リラックスさせない原因の1つが何を言ってやがる』
「あはははは。あ、そうだ。副官さん、今日無限書庫に行こうかと思うんですけど、区間B-3への申請書って発行できますか?」
『B-3というと……だいぶ深いところだな。しかし、清々しい休日にわざわざホコリくさいところに行って閉じこもるとは』
「誰かさんに朝早く起こされて暇になったもので」
いつも通りの軽口の応酬を繰り返しながら、今日の計画を立てていく。今日はちきゅうやに行くつもりだったけど、少し遅らせよう。せっかく朝早く起きたんだし、今日は無限書庫の奥の方に行ってみようと思いついた。あそこは区間ごとに年代が区切られており、入口の方は近代の情報が多い。なら単純に奥に行けば行くほど、古い記録が見つかる可能性が高いのだ。
未整理状態の無限書庫には、未だに正確な地図がなかったりする。管理局の司書さんがちょこちょこ書き加えているが、全体図は誰も知らない。少なくとも、今わかっている範囲の数倍はまだ開拓されていないらしい。
『前から言っているが、もし新しい通路を見つけたら報告しろよ。無限書庫の開拓を同時進行してくれれば、面倒が減るからな』
「相変わらず人使いが荒いですね。俺も探検しているみたいで楽しいからいいですけど」
俺の書庫探検が許されているのは、レアスキルのおかげが大きい。どれだけ深くもぐっても、すぐに帰還することができるし、頭の中でわかっている範囲ならどこにでも移動できる。最短で探索ができるのは、非常に便利なのだ。
俺としても欲しい情報がどこにあるのかわからない現状、調べられる範囲が増えるのは必要なことだ。だから時間がある時は、無限書庫を開拓して報告書にまとめるようにしている。おかげで給料も増えたし、司書関連の勉強にもなった。本を読むのは好きだから、司書の資格を取ってもいいかもしれない。
『……ほら、申請許可は出したぞ。お前のデバイスに送っておくから、司書に見せればいい』
「おぉ、さすが。仕事が早いですね」
『ふん、当たり前だ。最近はストレスを感じなくてすんでいるし、調子がいいんだ』
「……ん?」
副官さんからの返事に俺はひっかかりを覚えた。副官さんの軽口の内容を考えてみると、そういえばこの頃俺は
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