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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第一章『セシリア・オルコット』
第十二話『宿りし絆(こころ)』
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「じゃあ、お前の価値って何だ。家柄か、強さか、主席入学っていう名誉か?
 そんな価値なんて大層なもん、今の俺にもお前にも、大してありはしないさ」
俺は価値の話がしたいんじゃない。
「価値とか、資格とか、そんなことウダウダ嘆いているヒマに……」
いつだっけな、これを師匠に言われたのは――。
「死ぬ気で足掻いて、もう一回そこから這い上がって来れる。世の中、そう言うもんだぜ…?」
まぁ、師匠は完全に命令形だったけど……。
それを聞いていたオルコットからは、もう泣き声も泣き言も聞こえない。
ただ俺を、何やら不思議そうに見ているだけだった。
仕方ないかもしれない。
一度の敗北で自分人生が左右される、そんな綱渡りみたいな力の付け方をしてきたんだ。
やり直しなんて考え方が、今まで念頭になかったんだろう。
「大丈夫、多分『お前』だったらイケるさ」
根拠は無い、でも確かな根拠はある。
「ソニックでチートかましていた俺を、残り5ポイントにまで気迫で追い込んだ、あのときの“意地でも諦めない”セシリア・オルコットなら……」
あの時の彼女は、彼女自身が思っているような矮小で上辺だけの人間じゃなかった。
間違いなく、俺とよく似た【夢と誇りを抱えて羽ばたき続ける少女】の、本気の戦いだった気がする。
「あの時のお前、綺麗でカッコ良かったぜ……?」
それがあの戦いで出会った、俺の感じたセシリア・オルコットの生き様だ。
『学業施設内にいる生徒の皆さんに連絡します――。
 まもなく17時00分になります。本日の全日程が終了しましたので、スポーツクラブ以外の部活動や、 居残りをしている生徒は学生寮へ帰るよう心掛けてください。
 繰り返します……』
不意に、居残りへの注意喚起のための校内放送が流れてきた。
「……悪ぃ、なんか中途半端だけど、帰る時間みたいだな」
そう言ってオルコットの方を向くと、何故かぼーっとしたままの彼女がいた。
……なんだコレ?
「……お〜〜〜い…」
少し不躾だが、少し顔を近づけてみる。
「きゃっ…?!」
驚いたのか、小さく悲鳴を上げるオルコット。
いやいや、いきなり呆けられた俺の方が驚いたっていうか……。
「いや、悪かった。……大丈夫か?」
熱でもあるのかと思ったが、窓から入る西日のせいでイマイチ顔色が分からない。
「え…、ぁあ…、だっ…大丈夫…です…、はいっ…!」
慌てて言い繕うように、たどたどしく返答するオルコット。
でも何故に、姿勢まで正す必要が……?
ってか、さっきとまた態度が違っていないか……?
「とりあえず、俺は今から帰るけど、何なら一緒に帰るか…?」
校舎がもうすぐ閉まるってことは、コイツも遅かれ早かれここから帰る必要がある。
さっきのさっきまで説教垂れていた身で言うことじゃないんだろ
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