暁 〜小説投稿サイト〜
IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第一章『セシリア・オルコット』
第九話『戦いの決着』
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イルが至近距離で発射され、思わずスターライトを手放して引き下がる。ミサイルはこぼしたスターライトが偶然にも盾となり、直撃を避けることが出来た。これで残る武器はお互いに、ただ一つ。
セシリアのシールドエネルギー、残り121。
「イ…、インター…!!」
最後の手段である接近戦に備えようとするセシリア。しかしエアリオル・ソニックの急加速は、それを許そうとしなかった。
スラッシュネイルを構え、振り抜く姿勢にはいる修夜。
両者の距離、およそ1m。
すなわち、修夜にとっての必殺の間合い。
「こいつで……」
振り抜かれる、とどめの一撃。
《これで!!》

「――終わりですわ…!」

修夜は寸の間、セシリアの言葉と力強い顔に違和感を覚えた。
そしてその違和感の原因が、自分の頭上に居ることに気が付いた。

(――っ?!)
修夜は思わずそれを仰ぎ見た。
ブルー・ティアーズのビット、その最後の一機を。

あのビットの退却時、実は修夜に撃たれた4機のビットのうち、この一機だけは寸手のところで生き残ることが出来ていた。
否、『生き残らせたの』だった。
そのためにセシリアは残る3機のビットを犠牲にし、ミサイルビットをその前後でありったけ展開してみせたのだ。
修夜が武の道に通じているといえど、大量の弾幕を処理するなかで押し寄せる物体を、正確に把握しきるのには今一歩だけ未熟だった。
修夜の動きが、瞬きのあいだだけ鈍り、正面から気が逸らされる。
その好機をセシリアは見逃さなかった。

――バシュッ!

その音に修夜が視線を移すよりも早く、修夜に見つかっていないラスト1発のミサイルビットが、修夜の眼の前で発射される。

――どぉおん!!

炸裂したミサイルビットは、セシリアごと修夜を爆撃して本懐を遂げ、レーザービットはセシリアの盾となって壊れた。
ふらつきながらも姿勢を正そうとするセシリア。
その自慢の金髪も、先の爆発で煤汚れてしまっている。
だが、そんなことは些細なことでしかない。
最終的なシールドエネルギーの残量、14。
彼女は確かな確信を得ていた。
(……これで、ホントに…………)

「――終わりだ、セシリア・オルコット」

少女は耳を疑った。
その声を確かめるべく、仰天した彼女の眼の前にいた者。

――真行寺修夜

そのまま、セシリアはスラッシュネイルでの唐竹割りをまともに受ける。

鳴り響くブザーの中、セシリアは斬撃の余韻だけを感じながら、自らの敗北を知ったのだった。

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