第五十四話 悲歌の幻想
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「速いッ!?」
『来るぞッ!!』
シンが敵の速さに驚愕し、ハイネが警戒を促した瞬間、彼らは先発の敵部隊と相対した。三機ほど同系統の緑色の機体ビグロ、そしてそれらの中央に荘厳たる様子で突撃してきた明らかに他の三機とは毛色が違う大型MA――――
「あいつ等、またこんなものを!」
シンはそれらのMAを見て思わず激昂する。MAを操縦しているのはおそらくエクステンデットなのだろう。シンは直感でそう感じ取っていた。
『相手の機動力―――油断ならないぜ!各機、散開!元々こっちに引きつけるのが目的なんだ。相手に合わせる必要はねえ!』
そう言ってハイネは強行突破を図ろうとガトリング砲を構えて正面にばら撒く。作戦の関係上補給が出来ない状況で実弾は好ましくないと判断し、ガトリングはビームのみに変更していた。中央の機体を中心に放たれ、広くばら撒かれたビームの雨に躱せないとハイネは確信する。しかし―――
『全弾防いだだと……ッ!』
『三機は陽電子リフレクター――――中央の一機はIフィールドだね』
『厄介な、だが!』
正面に居たMAはどれも攻撃を完全に防ぎきっていた。ビグロにはザムザザーの技術を流用したものなのか陽電子リフレクターが、中央の一機はデストロイと同じようにIフィールドが装備されている。とはいえ、陽電子リフレクターに関しては技術の転用はともかく、機体とのミスマッチがあったのだろう。
直線的に移動するビグロには、本来なら正面に陽電子リフレクターを装備させるのがベストなのだろうが、そうすることが出来ず、ザムザザーと同じように前屈みにならないと展開出来ないようだ。それはビグロの利点とも言える機動力を殺す結果となり、その隙を逸早く突いたのはドラグーンを操るレイと機体の特性を理解しているクラウだった。
『折角の機動力も、その装備じゃ意味ないよ!』
『ドラグーン、狙い撃て!』
リゲルグは月に降り、滑りながらビグロの真下に潜り込んでそのまま上にビームライフルを向けて貫いた。機動力を殺してまで正面の攻撃を防いだビグロは逆にそれ以外の所に対して何の対策のしようもない。
レジェンドのドラグーンも多数展開し、あらゆる方向から狙い撃たれる。勢いを殺したビグロは再び加速して速度を取り戻そうとするものの、間に合うはずもなくあっさりと全方位からの攻撃に残っていた二機のビグロも落とされた。
『シン、ハイネ―――前進しろ!こいつは俺が倒しておく!』
『OK、任せるぜ!行くぞシン!』
「わかった!落とされるなよ!!」
MA部隊に遅れて追いついてきた敵MS隊をレイのドラグーンによる五十を超える一斉射撃によって道を開く。
『ヴォワチュール・リュミエール展開!!』
ハイネのデスティニーの光の翼が展開さ
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