第二部
第一章 〜暗雲〜
九十六 〜再会〜
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いる。無理を申すな」
「ええー、ええやんちょっとぐらい。な、月?」
「へ、へう〜」
「止さぬか。月が真っ赤になっているではないか」
「つれないなぁ、歳っちは。ほな、華佗にきばって貰うしかあらへんな」
「……言っておくが、華佗に無理難題を申すのではないぞ? 如何に名医とは申せ、限界はあるのだぞ」
むう、霞がこれでは他の者も危ういな。
華佗に、注意するよう伝えておかねばならぬな。
「着いたな」
「……此所、ですか」
土饅頭に、粗末な墓標。
「白兎(董旻)の墓やね」
「……此所に、白兎ちゃんが」
そっと、月は墓標を撫でた。
「言い訳はせぬ。白兎を死に追いやったのは、私に責めがある」
「いいえ。白兎ちゃんは、そんな事でお父様を恨んだりはしない筈です」
「せや。白兎かて、本望やったと思うで?」
「……そうか」
墓標の前に、一束の花が添えられていた。
恐らくは、疾風であろう。
「さ、お参りしましょう」
「せやな」
二人に挟まれながら、私は墓に向かって手を合わせる。
暫し、静かな時が流れた。
……尤も、それはほんの一時に過ぎぬものであったが。
「土方様、董卓様! 至急、お戻りを!」
急を知らせる使い番に頷くと、私は踵を返した。
いよいよ、来るべきものが来たようだな。
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