第二部
第一章 〜暗雲〜
九十六 〜再会〜
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の……そう考える方が自然であろう」
全てが後手後手に回ったが故に、少なからぬ犠牲も払ってきた。
流石に、まずは朝敵ありき……その前提で動けと申す方が酷としか言えまい。
「……そうですね。まず、袁術さんは応じるでしょうね」
「あと、劉表さんも可能性は高いと思います。ご自身の意思かどうかは別にして、軍を把握している方を考えると」
朱里と雛里の意見に、詠が憮然となる。
「……考えたくはないけど、その通りでしょうね。後は、曹操も応じると思うわ」
「むー、一理ありますねぇ。曹操さんはお兄さんを認めているところもありますが、事ある毎に配下になれと仰せですしー」
「孫策殿はないでしょうな。今は軍を維持する事もままならないと聞いていますぞ」
「うむ、ねねの申す通りだろうな。他の者はどうか?」
武将らからも、様々な意見が出た。
主な諸侯として挙げられるのは、白蓮、翡、劉璋、それに麗羽あたりであろう。
劉璋以外は面識があり、私か月、どちらかが浅からぬ縁がある。
その三者については、私としても動向を見極めきれぬ部分がある。
麗羽は、私を師と仰ぐ身故、私に敵対する事を望むまい。
……だが、何と言ってもこの国でも指折りの名家である事に変わりはない。
それに、袁術が勅令に応じるとなれば、果たして他の一族を従わせる事が出来るであろうか?
白蓮は、個人的に好意を寄せている事は間違いあるまい。
とは申せ、勅令に反してまで動けるか否か。
月と関係の深い翡ですら、同じ事が言える。
それ程に、勅令というものは未だ逆らう事の出来ぬ効力を持つ。
「いずれにせよ、最悪の事態には備えねばなるまい。引き続き、情報収集を怠るな」
「御意!」
大きな戦になるやも知れぬが、決して負けはせぬ。
いや、負けてはならぬのだ。
半刻後。
私は月と共に、洛陽の外れにやってきた。
警護として、霞が同行している。
「お父様、傷は痛みませんか?」
「大事ない。華佗の治療にかかれば、な」
「せやけど、歳っちの事を聞いた時は気が気やあらへんかったで?」
「うむ。もう、あのような真似は致すなと皆から口々に叱りを受けた」
「当たり前や。歳っちに万が一の事があれば、悲しむのは月だけやない。ウチも恋も、みんなもや」
「ふふ、お父様は本当に愛されてますね。……でも、霞さんが仰る通りです」
キュッと、つないだ手に力が込められる。
……と、空いた方の腕に霞の腕が絡まった。
「霞。お前は警護役だぞ?」
「そないな事わかっとる。けど、月を見とったら何や羨ましゅうなったんや」
全く、そのような顔をされては拒めるものも拒めぬではないか。
「なあ、歳っち。久々に会うたんや……な?」
「いや、完治するまではならぬと華佗から止められて
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