第二部
第一章 〜暗雲〜
九十六 〜再会〜
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だ。だが、動いてもいいが激しい運動は駄目だ」
「ああ、心得ているつもりだ」
暫し剣を振れぬのは残念だが、致し方あるまい。
「……本当に、大丈夫だろうな?」
「何がだ?」
華佗は咳払いをしてから、小声で言った。
「夜の事だ。傷に差し障るぞ?」
「夜?……成る程」
「お前も、お前のところの将も皆若いから仕方はないが。俺がいいというまでは控えろ。いいな?」
「わかった。そうしよう」
確かに、皆ともご無沙汰ではある。
性欲が衰えた……とは思いたくないが、皆は私などよりも更に若い。
……寝込みを襲われぬよう、釘を刺しておくか。
そんな他愛もない事を考えながら、部屋を出た。
「……歳三。もう、起きていいの?」
恋が、戟を手に立っていた。
「ああ。ずっと見張りを?」
「……鈴々や愛紗達と、交代で」
「そうか。これから軍議を行う、お前も参加せよ」
「……わかった」
月の屋敷にある奥まった一室。
……とは申せ、かなりの広さはあるが。
主立った者が皆、一堂に会していた。
「朱里、ご苦労だったな」
「いえ。ご主人様が無事で良かったです」
混乱の中、朱里は呉から送り届けられていた。
聞けば、思春が洛陽まで警護してきたとの事。
睡蓮(孫堅)の事があり、余裕もない筈だが……雪蓮の誠意、と受け取っておこう。
「では、始めたいと思います」
禀がそう言った時。
「ちょい待ち! ウチ忘れてへんか!」
霞が、そこに飛び込んできた。
「霞さん!」
「月、歳っち。久しぶりやなぁ」
変わらず、陽気な霞そのままだな。
「涼州から参ったか」
「せや。歳っちが洛陽に向かったちゅう話聞いてな、翡(馬騰)はんに話つけたんや」
「そうか、では騎馬隊も伴ってきたのだな?」
「勿論や。ウチがしごき上げた連中や、そんじょそこらの騎馬隊には負けへんで!」
その言葉に、詠が頷く。
「それは大きいわね。ボク達の欠点が、騎兵の少なさだったからね」
「そうですね。紫苑さんの弓兵に張遼さんの騎兵、戦力としてもかなり望ましい形かと」
「ふふ、雛里ちゃん。もう立派に軍師の仲間入りだね」
嬉しそうな朱里。
「歳三様。霞も来たところで、改めて始めたいのですが」
「おお、済まぬ。禀、頼む」
「はい」
向かって右側には、愛紗、鈴々、星、疾風(徐晃)、彩(張コウ)、紫苑、閃嘩(華雄)、恋、そして霞が。
左側には禀、風、朱里、雛里、詠、ねね。
そして私の隣には、月が。
……錚々たる顔触れ、という言葉以外には思いつかぬな。
「まず、我が軍が洛陽に入ったところから改めて整理したいと思います。歳三様、宜しいですね?」
「うむ」
「……知っての通り、李カク、郭シ軍は我が軍に敗れ、二人は討ち取られました。
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