第二十八話 当代無双の名将? 誰の事だ?
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戦闘が続き負傷者が増え続ければ彼らを見殺しにする事になると」
「馬鹿な……」
馬鹿はお前だ。お前が際限なく占領地を拡大させるからこうなったのだ。食料に比べれば僅かだが影響は少しも変わらない。事の重大性が理解できたのだろう、ドーソンが怯えたような表情を見せた。ドーソンだけじゃない、司令室に居る誰もが表情を強張らせている。
「イゼルローン要塞に有る医薬品を……」
「とっくに送りました!」
「……」
「送ったんです、この要塞にはもう最低限の医薬品しかない。それを前線に送っても焼け石に水です。抜本的な解決策にはなりません」
「……」
ドーソン総司令官が震えている。もっとも表情は蒼褪めている。震えている理由は恐怖だろう。
「どうします、負傷者を見殺しにしますか?」
「……」
「閣下、御決断ください!」
ドーソンが微かにビクッと震えた。勝ったな、これでもう決戦とは言えんだろう……。
帝国暦 487年 11月 27日 オーディン 新無憂宮 エーレンベルク
「では反乱軍は撤退しているのじゃな」
『撤退では有りません、後退です』
スクリーンに映るヴァレンシュタインが訂正するとそれまで上機嫌だったリヒテンラーデ侯が面白くなさそうに顔を顰めた。
「しかし優勢なのであろう?」
『はい、二個艦隊が降伏、一個艦隊が潰走状態になっています。その他の艦隊も大きな損害を出して後退し続けています。現時点で反乱軍に対して四割以上の損失を与える事が出来たと考えています』
「うむ」
『しかし油断は出来ません。現時点では反乱軍は後退していますが未だ戦闘可能な艦隊は有るのです。何処かで集結して決戦を挑んでくる可能性が有ります』
リヒテンラーデ侯が私とシュタインホフ元帥に視線を向けてきた。ヴァレンシュタインの言う通りだ、可能性は有る。黙って頷いた。リヒテンラーデ侯が分かったと言うように頷いた。
「分かった、勝っている以上問題はない、このまま勝ちきってくれ、頼むぞ」
『はっ』
通信が切れると自然と三人で向かい合うような態勢になった。
「先ずは重畳、そんなところだの」
国務尚書の執務室に軽い笑い声が満ちた。
「現時点で四割を超えるとなれば最終的には五割を超えるかもしれませんな」
「当分は反乱軍も大規模な軍事行動を控えましょう。艦と将兵だけではない、物資もかなり消耗したはずです」
私とシュタインホフ元帥が言うとリヒテンラーデ侯が嬉しそうに頷いた。
「早速皆に報せるとするか、この戦果を知れば外戚達も大人しくなろう」
リヒテンラーデ侯の声も明るい。ようやく愁眉を開いた、そんな感じだ。陛下が無くなられた後、帝国には不穏な空気が漂っている。次期皇帝の座を巡って貴族達が蠢いているのだ。例えてみれば大地
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