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恋姫無双〜劉禅の綱渡り人生〜
劉禅、賊と戦い忍びと会う
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様子を見た他の賊は、慌てふためく。解放された女は、すぐにその場から駆け出し、俺の背後に隠れるようにしがみ付く。
 最初は普浄が来たのかと思ったが、どうやら違うようである。現れたのは、一人の黒装束だった。ご丁寧に、素顔まで覆面で隠している。
「この野郎!」
 残りの賊が覆面に斬りかかる。しかし、瞬く間に全員、覆面に斬り殺された。
「……お前、何者だ?」
 俺は覆面に問いかける。こいつ、賊だけでなく俺にも殺気を向けているところを見ると、どうやら味方でもなさそうだ。
「劉禅。お前の命、この俺が貰い受ける」
 その人物は、俺に向かって武器を向け、宣言する。背後では、ヒッと女達が短く悲鳴をあげ、へたり込む。
(今度こそ終わったか)
 俺には戦えるだけの余力が残っていない。残っていたとしても、あの覆面の武を見た後では、到底無事で済むとは思えなかった。
「……忍び、か」
 俺が見たこともない武器、特徴的な姿。今思い出したが、確か北郷直属の戦闘集団の特徴と、目の前の男が一致するのではないか。北郷はその集団のことをこう呼んでいた。――『忍び』と。
 だとしたら、俺はもう助からないだろう。俺は死を覚悟した。

 しかし、幸運というか、悪運が強いというか、またしても俺は九死に一生を得ることになる。
「劉禅殿ー」
 この期に及んで、普浄がやっと追いついて来たのだ。その背後には、村の若者達も控えている。
「……邪魔が入ったか」
 覆面は舌打ちをすると、何かを地面に投げつけた。白い煙が湧き上がり、視界が塞がれる。俺は覆面の攻撃を警戒したが、いつまでたっても攻撃は来なかった。そして、視界が晴れたとき、覆面は忽然と消えていた。
「劉禅殿、あの者は? 一体何が?」
 普浄は俺に問いかけたが、俺は答えなかった。

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