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恋姫無双〜劉禅の綱渡り人生〜
劉禅、賊と戦い忍びと会う
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「くそっ、何だこいつら」
 俺は、多数の賊に追い込まれ、焦っていた。
 機先を制して頭を討ち取った後、洞窟を脱出すべく動き回っていたのだが、頭の死を聞いた子分たちが向かってきたのだ。たかが烏合の衆であり、頭さえ無くなれば蜘蛛の子を散らすように逃げると予想していただけに、この状況は大変な誤算だった。
 しかし、洞窟内部での戦いなので、勝算が無い訳ではない。洞窟の、特に狭いところを選んで戦えば、囲まれることは無い。つまり、背後を気にせず戦えるということだ。この狭さなら、同時に来られてもせいぜい二・三人程度だ。その程度なら問題ない。さっきまでは、そう思っていた。
 今、俺の背後には五人の女が居る。これまでに攫われてきた村の女だろう。戦いながら出口を探して動き回り、偶然入り込んだところに、その女達は居た。はっきり言って、戦うにはかなり足手まといになっている。しかし、見捨てていくわけにはいかないのも事実だ。
 しかも、状況が変わってきている。賊達はまともな武では敵わないと見たのか、むやみに攻撃してこなくなったのだ。
(やっぱり、そんなに甘くないよな……)
 俺は内心で呟く。これだけの人数が居れば、頭の回る奴だっているだろう。
「油をぶちまけて、火矢を打ち込めっ!」
 ついには、そんなことまで言い出す奴も出てきた。
(拙い、そんなことされたら終わりだ)
「俺の後について来い!」
 俺は背後の女達に声をかけ、飛び出した。最早狭いところで迎撃、なんてやってられない。俺は火矢を打ち込まれる前に、賊の集団に突っ込んで行った。
 斬って、斬って、斬りまくる。しかし、これで状況が変わる訳ではない。有利な地形を捨てるということは、それだけ危機にさらされる機会が多くなるということである。さらに、背後の女達も気にしなければならず、俺はあの呂布のような古今無双の武将でもない。頬を切先が掠め、脇腹を浅く斬られ、あるいは左腕を刺される。急所は何とか外しているものの、見る見るうちに俺は傷だらけになっていった。
 それでも俺は、何とか賊を蹴散らす。しかし、五十人程斬ったところで、俺は動きを止められてしまった。
「へへっ。おとなしくしないと、この女殺すぞ」
 賊の一人が、女を人質にとったのだ。その賊が背後に回りこんできたのは気付いていたが、多勢に無勢で、どうすることも出来なかったのだ。
 俺は剣を捨てた。普浄は、まだ来ない。一人で賊を全滅させる自身が無いうえ、人質をとられてはどうしようもない。
 しかし、何かがおかしい。今までの経験上、普通賊は頭を失えば四散するのだが、こいつらは猛然と向かってきている。
「よくも好き放題やってくれたな。絶対にゆるさねえ。じわじわ嬲り殺しにしてやる」
 賊がそう言った時、ふいに何かが飛来し、女を捕らえていた賊の額に刺さった。その
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