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蒼穹を翔る運命の翼
PHASE-01 「会敵」
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-M92斬機刀』と似た形状の武器だな。確か、グレイブヤード由来のサムライソード……だったか?
 女の持つ武器と似たものを、シンは見た事があった。あの忌まわしい大戦の契機となったテロである。
 かつてあの武装が歩兵携行用の物であった事は聞いたことがあったが、本物を見たのは初めての事であった。
 既に失われた技術であった為、シンが武器の名を知る筈もない。
 さっと女の全身を見回し、シンは身構える。
 先程までの連中よりは年上の女だ。それに場慣れもしている。雰囲気が違う。
 モビルスーツのパイロットには独特の嗅覚がある。全てが一様にして、そう、とは言えないのだがある程度は共通していると言っていい。
 相手の姿が見えないモビルスーツ戦でも、その機体の動きなどから相手の実力を推し量る事が出来るのだ。
 熟練のエース級のパイロットになると、モビルスーツの挙動から相手の年齢をも大まかに読み取れるらしい。
 曰く――、モビルスーツの動きに感情が乗っているとか。
 流石に、シンにはそこまで読み取る事は出来ないが。
 だが、やり手のパイロットの駆る機体を相手にすると、モビルスーツ乗りは皆、こう言うのだ。
 あの機体は出来る。雰囲気がある。
 生憎、今はモビルスーツ戦でなく生身の戦闘だが、確実にそれをシンは相手から感じ取っていた。
 その間、女の視線はシンの目をジッと見つめている。
「ふん、若い侵入者とは聞いていたが……。なるほど、ウチのガキ共と似た歳の様だが、いい眼をしているな」
 話半分に聞き流し、シンは機をうかがう。
「どうあっても、やるつもりか」
 女は武器を正面に構える。
 やるつもりか? 当たり前だろう。こちらは敵中に孤立して、オマケにあんな大立ち回りもやっている始末。
 無事に済むなんて虫の良い話が無いことは百も承知。なら後は足掻くだけだ。
「良いだろう。来い、相手をしてやる」
 ―――言われなくても、やってやる。
「―――はぁっ!」
 シンは順手に持ったナイフで突撃する。
 得物のリーチでは完全に負けている。となると、有効な戦術は初撃で相手を行動不能にすることだ。
 初撃が失敗したら、二撃も同じ様に強襲する。リーチの不足した武器で悠長に切り結ぶ余裕はない。
 一撃離脱の反復、これが今取れる最も確実な戦術だ。
 だが、時間的猶予と推定できる相手の実力を鑑みると、三撃目はない。
 僅か数メートルの距離を一息で飛び込み、
「―――チッ」
 斬りかかろうとするが、攻撃を直前に中断する。 そのまま、ナイフを盾にするようにして、相手の左から通り抜ける。
 背後に回った後向き直って、ナイフを逆手に持ち直す。相手も既にこちらを向いている。
 あわよくば、ナイフのグリップで殴って気絶させようとしていたが、そう簡単に
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