PHASE-01 「会敵」
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いずれにせよ、引き金を引く覚悟のないものが銃を持つな、とシンは思った。
だが、果たして自分はあの敵兵の首を本当に切り裂けたのか、そう思うと、偉そうには言えないものだ。
「上に行くか、それとも外か。どうすりゃ良いんだ?」
ある意味最大の選択である。どちらにせよ、今のシンは、身の振り方1つで自分の命運を決める。
「外は止めとくか。土地勘もないし」
階段付近に来たシンは、近くの窓ガラスを開けて小銃を放り投げる。
せっかく、奪った銃だがやはり慣れない銃に命を預けるのは気が引けたのだ。
―――やり過ぎか? まぁ、良いか。
妙に素人臭い集団だ。やり過ぎ位で丁度良いだろう、と考える。
そのまま踵を返して階段を昇る。こうなっては籠城戦しかない。
比較的に低層階、隣接している部屋の少ない隅の部屋が好ましい。
壁を破られる危険も一方向分減る上、いざとなったら外に逃げれるからだ。
音を立てずに階段を上がる。
「アイツは外ね! 皆、行くわよ」
階下から騒音。
おいおい、っとツッコミたい所だが今は素直にありがたい。
所詮は時間稼ぎなのだ、とシンは上階の捜索を再開することにした。
足音が響かぬよう、慎重に廊下を歩く。
特に地下設備も見当たらない為、上に行くしかない。
ナイフを強く握りしめる。ザフト官給品のこの大型ナイフが、自分に残された最後の武器だ。
普段は全くといっていい程、使う事はない。だが、昔から軍人の装備にナイフが用意されている理由が分かった気がした。
汎用性もともかく、銃とは違う独特の質感が不思議と勇気を与えてくれる様な気がするのだ。
人間の使用した原初の道具、それの正統なる血統が故だろうか?
まぁ、そんな事は今は関係ない。
深呼吸して、自然と止まっていた歩みを再び始める。
―――もう一階上がってみるか。
そう思ったシンだが、再び臨戦態勢を取らざるを得ない状況となった。
「何処へ行く気だ?」
後方から声を掛けられる。シンはナイフを握り直し、息を呑む。
―――いつの間に後ろを取られた?
決して気を抜いていた訳ではなかった。敵地で気を抜くほど、彼は愚かではない。
いや、そんな事は今は後回しだろう。どうして、こうも上手く行かないかを嘆くのも後だ。
「ゆっくりこちらを向け」
言われるがままに、声の主の方向にシンは向き直る。なんの冗談かまた女の声であった。どういう事かここへ迷い込んで以来、女の声しか聞いていない。
月明かりに照らされた先にはスーツ姿の女が立っていた。さっき見た連中とは異なり、ボディアーマーの類いは身に着けておらず、銃も持っていない。
視認できる範囲で確認出来る武器は、右手に握られた刀だけだった。
――――<ハイマニューバ2型>の『MA
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