PHASE-01 「会敵」
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を装備しており、バイザーによりシンからは視線は読めない。
だが、そんなことを些細に感じさせるほど分かりやすく、敵兵は全員、シンの銃に注目していた。
月明かりしか光源が無い状況でだ。
「分かったよ。けど、その前に――」
シンは拳銃のマガジンをリリース、その後チャンバー内の弾丸を排莢する。
静かな廊下に金属音が鳴り響く。
「これで文句ないだろ? 置くぞ」
敵兵を睨みながら、シンはゆっくりと銃を床に近付けていく。
―――弾丸の落下に過敏に反応してたな。それに、銃を視すぎだっ!
銃が床に接地する寸前に、シンは銃を中央の敵兵目掛けて投げつけた。
敵兵に向かって銃を投げると同時にシンも飛び出す。
「ぐっ……」
投げた銃は見事に敵兵のヘルメットに命中する。
突然の事態に混乱する兵達。
「てぇえやぁあ――っ!」
シンは銃の投擲を食らった兵に飛びかかり、押し倒す。
同時に兵が肩から提げていた小銃のストラップを、懐から取り出したナイフで切断。
「他の奴らは動くなよ。変なマネをしたらこいつを殺す」
馬乗りの姿勢で、ナイフを兵士の首筋に当て、警告するシン。
残りの兵は小銃をこちらに向けはしているが、引き金を引く気が無いことが、シンには直感で分かっていた。
なんだこいつら。状況が変わったとでも思ってるのか?
どこまで素人なのか、とシンは思わざるを得なかった。
結局、馬乗りの姿勢であることから、依然としてシンの身は安全ではない。
このままでは、敵は味方に影響を与えることなくシンを排除出来る。
その事に気付いていないとでもいうのだろうか。
―――とにかく、このままこいつを人質にして。
こういうときは勢いが大事だからな。
シンはそう考えていた。
だが、暗がりで不明瞭だった敵兵の顔が肉薄したことにより鮮明に見えてきた。
「―――っ!?」
女だった。それも自分とそう年は変わるまい。
成る程、軍人らしからぬ体型の原因はこれか。シンは驚きとともに理解した。
無論、シンの知り合いにも女性の軍人は居る。とはいえ、そうそう多い訳でもない。
女を相手にすることにそうそう慣れていないことが、動揺を誘う。
動揺を悟られない様に周囲の兵を確認する。一度、相手が女性だと分かれば、全員女だと判別することも容易だった。
「ちっ――!」
小さく舌打ちをして、シンは再び勢い良く飛び出す。
今度は逃げるために。
同時に、ストラップを切断した小銃を奪いとる。見慣れない形状だったが、銃の構造などよっぽどの事がない限り変わらないものだ。
袋小路の入口となっていた角を曲がる。幸いにも背後からの銃撃はなかった。
施設への被害を警戒したのか、それとも仲間の身を確認する事を優先したのか。
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