PHASE-01 「会敵」
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愛機に告げてシンは無線機のボタンを押した。
今頃、<インパルス>のコンソールではカウントダウンが始まっている筈だ。
きっかり10秒後、<インパルス>はその身を敵に晒さぬべく自爆した。
望んでの事ではないとはいえ、今まで自分を守ってきた愛機を裏切った、とシンは感じずにはいられなかった。
だが、感傷に浸っている暇はない。
こうなっては、敵はシンを探しに来る事は明らかだった。
―――あの兵器は屋内戦闘を考慮しているとは思えない。
機体のサイズを見てそう判断したシンは、トランクにヘルメット、サバイバルキットと無線機をその場に捨て、先ほどの施設に走った。
シンはホルスターから拳銃を取り出し、左手でナイフの所在を確認する。
正面のガラス扉はぶち破れば容易に侵入出来る。加えて見たところ無人に近い状態の事から、立て籠り易い上、外部の人間を巻き込まずに済む。
流石に隠れることなく、そして<インパルス>の爆炎が宵闇を照らしているからか、シンが発見されるのは時間の問題だった。
『山田先生! 搭乗者らしき人物がいました!』
声が増幅されているのか、よく聞こえる声だった。
ちっ、とシンは舌打ちをするが、今は考えるより走るときだ、と判断し速度を上げる。
『止まれ! 逃げるな!』
その声と同時にシンの目の前に銃弾が着弾した。
いや、銃弾というより砲弾ともいえる威力だ。
衝撃と共に土が巻き上げられる。
シンは着弾地点を飛び越える様に飛び込んで受け身をとった。
『誰が撃ったの? 発砲許可は出していませんよ!』
『すっ、すみません。……つい』
しゃがんだ姿勢のシンは瞬時に体の具合を確認する。かなりの至近弾だったが、幸いにも体に怪我はない。
「なんだよ、アイツら。滅茶苦茶じゃないか」
今の発砲は指揮官の命令でなく、独断の物であったようだ。
ならば、つけ込む隙はある…、とシンはそのまま真上に3発発砲し、再び、走り出す。
突然の命令無視による混乱と、威嚇射撃の銃声に5体の機動兵器は反応が遅れる。
5体が気が付いたときには、シンは既に施設の直下まで到達していた。
『撃たないで、学園に当たります!』
指揮官らしき者の制止命令がシンにもハッキリと聞こえた。
それを聞きながら、シンはガラス扉に拳銃を撃ち込む。
「防弾じゃないな……、ラッキー」
そのまま飛び込む様にガラス扉を破り、シンは施設内に侵入した。
いくら滅茶苦茶な連中とはいえ、自軍の施設ごと攻撃はしないだろう。
指揮官の制止がそれの裏付けの筈、とシンは考えた。
「滅茶苦茶だな、俺も」
体に付いているガラス片を払いながら、シンは自嘲する。
普通の人間が、いくら非常時とはいえ、頭からガラス扉に突っ込む訳がない。
「成り行きとは
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