始まり
第05話 鳥と猫と空気と
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け、入っていくグレモリーさんの後ろを見つめる。
チラリと見えた部屋は、他の部屋に比べ、落ち着いているとはいえ、広く、高価な家具などが置かれている。
そんな部屋にはイスに座り、外をただ見ている少女が見えた。
あれは、以前の……
「……秋人さま、大丈夫ですの?」
過去の自分と重ね合わせていたのがバレたのか、レイヴェルが心配してくれた。
「あはは。大丈夫。……ありがとな、レイヴェル」
自分のことを思ってくれたレイヴェルに心からのお礼を偽りない笑顔で言う。
それで伝わったようでレイヴェルも笑顔を返した。
「二人とも入ってきて頂戴」
部屋の中からグレモリーさんが出てきて中へ促した。
こちらを見つめ、すぐに視線を外し俯いた小猫ちゃん。
その眼には恐怖心が宿っており、体もかすかに震えているように見える。
「小猫、さっき言った二人よ。自己紹介お願いできるかしら?」
そう言われ、まずはレイヴェルがスカートの端をつまみ、お辞儀をする。
「はじめまして小猫さん。レイヴェル・フェニックスですわ」
「そしてこっちの子が」
「来ヶ谷秋人だ。はじめまし、て……か?」
「……来ヶ谷君?」
突然言い淀みレイヴェルとグレモリーさんが訝しげにこっちを見る。
そんななことはどうでもよく、先程から小猫ちゃんに何かを感じる。
それが何なのか首をかしげながら思考の海に潜る。
「小猫?」
今度は小猫ちゃんの変化に気付いたのがグレモリーさんは視線を向ける。
小猫ちゃんの変化。
先程まで俯いていた少女は何を感じたのかこちら、主に俺の方を見ている。
グレモリーさんやレイヴェルに気付いて慌てて俯くが、チラチラと様子をうかがってくる。
それがしばらく続いたかと思うと、何か決心をしたようで、恐怖心と闘いながらも一歩、また一歩と歩み寄ってくる。
さすがにこれには目を見開いたグレモリーさん。
対人恐怖症が治っていないにもかかわらず、初対面であるはずの少年に歩み寄っている。
驚きはしながらも口は出さず、ただ事の成り行きを見守り続ける。
「……あきと、くん?」
「へ……?」
「……この感じ……ニオイ……やっぱりあのあきとくん……!」
「なぁっ……!?」
「え、えーっと……?」
控えめながらも身を寄せてきた小猫ちゃん。
先ほどまでとは違い、恐る恐るながらもどこか安心感を抱いているように見える。
一方、レイヴェルは絶賛絶句中で、俺も俺でなんとも言えずに必死で記憶を思い返した。
◇―――――――――◆
「つまりは、来ヶ谷君と小猫は過去に出会ったことがある。そういうことなのね」
彼、来ヶ谷君は頷いて肯定する。
結局、彼は小猫こと
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