Episode17:帰還と姉弟共闘
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す。
「滅」
「遅い!」
俺が取り出したものを悟ったのか、仮面の男が動き始めるが既に遅い。
俺の左手から、極細のワイヤーが放たれた。真っ直ぐに伸びるそれは、動き始めた男の小太刀に触れた。
「インライト!」
「ぐっ…!?」
カランカラン、と小太刀が地面に落ちた。呻き声を上げた男は、小太刀を握っていた右手を押さえている。
インライトーー俺が最近編み出した攻撃用の魔法だ。電気伝導性の高い素材で作ったワイヤーを通して、標的を感電させる魔法。本来は暗殺系に優れた魔法だけど、電流を弱めれば敵を無力化することだって可能な意外と使い勝手のいい魔法だ。
今の電流は死ぬほど強いものではない。軽く、全身が痺れるくらいのものだ。
まあ、一般人相手だったら相当強いのだが、今回の相手はあの人だしね。
「さあ、終わりだよ」
ーー『陸津波』ーー
土を掘り起こし、土砂の塊を叩きつける移動系魔法。
周囲の地面がゴッソリと盛り上がり、それが麻痺して動けない仮面の男へ降り注いだ。
「ふう、こっちは終了っと。久々にいい運動になった」
ほんとに、最近は姿を隠さなきゃいけない仕事とか、全力出せない模擬戦とかであんまり思いっきり戦える機会が少なかった。
「さてさて、姉さんのほうはどうなってるかな?」
「ハァッ!」
「ッ!」
白刃が閃き、仮面の女のスーツを破る。女の掌から放たれた直線状に伸びる雷を紙一重で躱して、順手に握っていた刀を逆手に握り替えて一閃。真っ赤なネクタイを半分に分断する。そして再び順手に持ち替えて斬りかかる。
九十九家の家督であるスバルの流れるような剣技に、仮面の女は自分のペースが掴めないでいた。
流麗かつ、強か。それを根幹とするスバルの剣技は、誰から教わったものではない。剣術の基本的な型は、名家、千葉家から盗んだものの、現在敵を追い詰めている剣技は完全にスバルが一人で考えて、会得した暗殺剣技である。
本来ならば、暗闇から気配を眩ませて一息に敵の急所を斬るのに適した剣技だが、例え正面戦闘になったとしても、相手を惑わし確実に息の根を止めることのできる、スバルの剣技。
「あらあら、随分息が上がっているわよ?」
刀を振りながら、余裕ぶった口調で相手を挑発する。
「ほらほら、脇が甘い!」
相手の弱点を指摘して、そこを突く。
「ふう。疲れたわね」
刀を振るうのを急に止め、わざと隙を晒す。
ここまでナメられたことをされれば、少なからず敵の怒りを誘える。そしてそれは、大きな隙となる。
仮面の女の纏
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