閑話
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は了承するとそのまま親不孝通りのほうへ歩いていった。
「さてと……おじさんもそろそろ行くとしますかね」
巨人の方も巡回を開始した。
「なんで来たんスか?」
「んー? 何が?」
忠勝の問いに千李は小首をかしげながら聞き返す。
「いや何がじゃなくて……。家で娘さん待ってんでしょ? いいんスか、こんなとこで油売ってて」
「その辺は大丈夫よ。家には百代たちがいて面倒見てくれてるだろうし」
「そういう問題じゃないでしょうが、母親なんだから少しは近くにいたほうがいいんじゃないかって話っすよ」
忠勝は少しだけ声を荒げながら千李に促す。
彼は一子と同じで小さい頃孤児だったのだ。おそらくそのせいで千李の今の行動に疑問を持ってしまっているのだろう。
「そうねー。確かに母親だから近くにいた方がいいかもしれないわね。だけどね忠勝、時には離れることも必要なのよ。それに最近べったりなところもあったからね、少し離れてみるのも親の義務ってもんよ」
「そういうもんスか……」
「そういうもんよ。まぁでも結局べたつくんだけどねー」
千李がクスクスと笑いながら頭を掻くと、忠勝は気が抜けたように笑っていた。その後二人は一通り親不孝通りを巡回すると、巨人との待ち合わせ場所に戻った。
千李たちの到着から数分後、巨人がフラフラと戻ってきた。
「はいお疲れさん。んじゃこれ給料な」
巨人は言いながら千李に茶封筒を渡す。
「今回は手伝ってもらったけど。次はなしってことにしような、さすがに女生徒を巻き込むわけにもいかんしな。いくらお前が強くてもさ」
頭をガリガリと掻きながら巨人は溜息混じりに千李に告げた。
「そうですか、でも必要な時は呼んでくれてかまいませんから」
「ああ。その時はお願いするさ。じゃあな川神長女、遅刻すんなよ」
「わかってますよ。んじゃっまた明日、忠勝もね」
「うす」
千李はそのまま二人に手を振り川神院に戻っていった。
因みにその日の夜のニュースで川神市で瞬間的に激しい突風が吹き荒れたと言うニュースが流れたと言う。
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