閑話
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巻き起こるが、砂煙が消えた頃には既に千李の姿は消えていた。
既に千李は学校から離れた市街のほうまで来ていた。だが誰も千李の姿に気付くものはいない。速過ぎて見えないのだ。
だが見えてはいないものの、千李の通過したあとには少なからず被害が出ていた。それは千李が走ることにより発生した風だ。千李は回りにある風を巻き込みながら走っているため、ほぼ風と一体化しており、千李の通過したあとには強い突風が発生しているのだ。
そのため先ほどから千李の後ろの方では、スカートをはいた女性のパンツが丸見えになりそうになったり、ヅラをつけている中年男性のヅラが吹き飛んだりしている。
……やっぱりこれあんまり街中だと使わない方がいいわねー。後ろの方すごいことになってそう。
などと反省しながらも千李は走ることをやめはしなかった。
千李が市街を駆け抜けた数十秒後、千李は川神市の湾岸にある九鬼の極東本部の前に到着した。
「んー、一分三十秒か。それなりに早くついたわね」
携帯を取り出して時間を確認していると、
「フハハハハハハ!! すさまじいまでの速さであったな千李!!」
揚羽が高笑いをしながら現れた。
「まぁ速く来いって言われてたんで」
「む? そうかだったか? それは急がせてしまったな」
「いーえ、別に暇でしたし」
「そうか。では本題に入るとしよう」
揚羽は千李を見据え、にやりと笑うと。
「千李。今度鉄心殿と死合いをするらしいではないか」
「……誰からそれを?」
千李は驚いた表情で揚羽に返した。
それもそのはず、鉄心と千李が戦うことを知っているのは川神院の者達だけだ。
だが揚羽から飛んできたのはさらに驚きの答えだった。
「誰と言われてもな。勿論鉄心殿だが?」
「あのジジイ……騙しやがったわね」
「?」
握りこぶしを作りながらギリギリと歯噛みする千李を揚羽は小首をかしげながら見つめている。おそらく鉄心に千李も知っていると、吹き込まれたのだろう。
「はぁ……いいわ。あとで倍返しにして返すし。……それでそれがどうかしました?」
「ん? ああ。実はなそれを我達も見に行っていいかと聞きたくてな。鉄心殿に教えてもらった時に伺っておけばよかったのだが……如何せん忘れてしまってな」
「そういうことですか。ご自由にどうぞ」
「うむ。おそらく死合いの時はヒュームも来るかもしれんがな」
その瞬間千李の顔が引きつった。
「えっと……マジな感じでヒュームさん来ます?」
「確定したかどうかはわからんがな。その日父上の護衛をするのであれば来れないであろうな」
揚羽の返答に千李は少し胸をなでおろす。
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