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東方虚空伝
第一章   [ 胎 動 ]
十三話 帝都防衛戦 後編
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いる。永琳の方を見るとモニターを難しい顔をしながら睨んでいた。その時管制所に通信が入ってきた。

『月の本部応答してくれ。こちら守備隊総隊長 錦月庵だ』

 管制所に明るい空気が戻る。

「錦月君、私だ。無事かね?」

『劉禅様!はい、なんとか。劉禅様のご配慮のおかげです。それとそこに斎賀議員はいますか?』

 庵がそう言った瞬間、皆の視線がサイガに集中する。

「な、なんだね!」

『テメーー!!そっちに着いたらただじゃすまさねーからな!!!』

「どういう事かね?斎賀君?」

「劉禅様!わ、私はこの新帝都の未来の為に…」

「それでメギドを使ったのかね?」

「は、はい…」

「なるほど、…この愚か者を拘束せよ!」

「劉禅様!!何故!!」

 サイガが警備に取り押さえられた。よくわからなかったけど悪い事をしたみたいだ。

『…あとそこに八意博士はいますか?』

 庵が唐突にそんな事を聞いてくる。

「何かしら庵さん?」

『永琳ちゃん……伝言を預かってる。――――“遅刻するが許してくれ”と…』

「……え?」

 永琳は何を言われたのか解らないみたいな顔をしている。それにわたしはどうして今、虚空の事だと思ったんだろう。庵は誰かなんて言ってないのに。聞いちゃダメ、聞いちゃダメ、と心が叫んでいる。でも口が勝手に言葉を吐いてしまった。

「ねぇ、……虚空は?」

 呟きみたいな音量だったはずだけど庵には聞こえたらしい。

『…姫様……すいません……』

 どうして庵は謝っているんだろう?どうして?どうして?どうして?混乱するわたしの耳に突然声が響いた。

「……ぁ……ぁ……あああああアアアアaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!」

 永琳が悲鳴とも絶叫とも解らない声を上げていた。そして、

「お前がああぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!」

 見たことも無い怖い顔をしてサイガに飛び掛ろうとしていた。それを警備の者が取り押さえている。怖い、あんな永琳を見たことがない。知らずわたしはガタガタと震えていた。そんなわたしの所にお父様がやって来た。

「ムツミ、輝夜を連れて別室に行きなさい」

 お父様はわたしの頭を撫でながらそう言ってきた。

「は、はいわかりました。さぁ姫様こちらに」

 ムツミに手を引かれながら管制所を後にする。廊下を歩きながらわたしの頭の中はごちゃごちゃになっていた。信じたくない事を気付かないフリをする。でも解ってる、でも信じたくない。でも、でも、でも、でも、………
 そんな自分でも訳が解らない事を頭のなかで繰り返す。だからムツミに聞いてしまった。聞いたらもう認めないといけないのに。だけど心のどこかで、もしかした
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