第一章 [ 胎 動 ]
十三話 帝都防衛戦 後編
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うと思っていたのだが」
目の前には紅髪が立っていた。
「…ハァ…ハァ…まだ終わって…ないよ…」
「そうか。なら続きといくか!」
こいつ死にかけの相手でも容赦無しか。ある意味感心するよ、そんな事を考えながら新しい剣を抜いた。
「憤怒」
僕の手に刃渡り二メートル刃幅六センチの鍔の無い長大な刀が現れる。呼び出すと同時にこいつの能力を理解できた。周りに味方が居ないのはある意味良かった巻き添えにしないですむ。
そして能力を発動すると次の瞬間、僕の周りは紅い海へと変わった。噴穴泉の様に吹き上がる灼熱。瞬く間に辺り一面をマグマが嘗め尽くした。そして灼熱の海から無数の紅い蛇達が這い出し鎌首を擡げる。
「何だこれは!」
さすがの紅髪もこの現象に脅威を感じた様だ。蛇の一匹を足場にして紅髪と対峙するが僕自身の限界が近い。これが最後だ。剣を振るい蛇達に命令を下す。
「あいつを……食らい尽くせ!!」
まるで獲物に群がる獣の様に紅髪に殺到し数千度の牙が荒れ狂う。
「ちっ!!!」
初めてあいつが回避に集中した。灼熱の海から次々に湧き上がる蛇達に追い立てられた紅髪は空高く飛び上がって行く。ここなら蛇も届くまい、そんな顔で見下ろしていたあいつを背後から電撃が襲った。
「ガアアアア!!!」
驚きを隠せない紅髪が自分の背後を振り返るとそこに広がるのは黒雲、そしてその黒い海を泳ぐ雷の蛇達だった。
更に紅髪を風が刃となって襲う。無数の風刃が猛威を振るい切り刻み、幾つもの雷の蛇が食らい付く。
「グガアアアアアア!!!」
空から叩き落された紅髪を再びマグマの蛇達が襲った。マグマ、雷撃、烈風を操る。それが憤怒の能力。天と地の暴虐をもって全てを蹂躙する――――圧倒的な破壊力。これならあいつを殺しきれるはず。
そう思っていたその時、あいつを蹂躙していた蛇達が悉く吹き飛ばされた。
「……ハハッ、ハハハハハッ!!!!!!こんな!こんな力を隠していたのか!!!!いいぞ!!いいぞ人間!!!」
全身を切り裂かれ焼かれているにも関わらず紅髪はこの状況を楽しんでいた。怖気が奔る。こいつを理解できない。理解できるわけが無い。
「…なん…なんだ…お前は!!!!!」
恐怖心に駆られ蛇達をけしかけたがあいつは避ける素振りを見せず右腕に妖力を集めだす。
それを見た瞬間あれはまずい、と直感がそう告げる。撃たれる前にあいつを消さなければ。
灼熱の蛇が、雷撃の蛇が、風の刃が紅髪の存在を食い尽くす為殺到していく。焼かれ、打たれ、切り裂かれ、それでもあいつはその暴虐の奔流の中で妖力を高め続ける。
そして遂に引き絞られた弓の如く紅髪の一撃が放たれた。振り抜かれ
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