第一章 [ 胎 動 ]
十二話 帝都防衛戦 前編
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つは通信をオープンチャンネルで繋いでいたのか!それでは予備のシャトルの事を知らない紅の部隊以外は戦意を喪失するに決まっている!
今から情報を伝えた所で戦線は崩れるだろう。そんな庵の予想は残酷にも当たった。
『こ、こちら第九分隊!え、援軍をお願いします!』
『こちら第六分隊!助けてください!妖怪を抑えられません!』
あちこちから援軍要請が入る。持ち堪えているのは紅と迦具土の部隊だけか。
少し考えた後、庵は虚空に通信を繋いだ。
「俺だ。そっちはまだ抑えられるか?」
『……大丈夫ですよ。こうやって通信出来る位には余裕があります」
虚空がそう答える。こんな事態にならなければ援護にいくつもりだったが最早それは出来なくなった。
「状況は最悪だ。すまないが何としても撤退が完了するまで奴を抑えてくれ」
『了解。そっちも気を付けてください』
短くやり取りをして通信を切る。おそらく時間はあまり残されていない。メギドがいつ起動するかも解らない以上迅速に行動しなくては。
「俺は戦場に出て指揮を執る!お前達はさっき言った事を部隊に通達したらすぐにシャトルに向かえ!すぐにでも飛ばせる様にしておくんだ!」
「了解しました!」
生き残って絶対に奴をぶっ飛ばす。心の中で叫びながら庵は戦場を目指した。彼等の不運とは裏腹に戦場の空は晴れ渡っていた。
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庵さんからの通信を切った直後、僕の手の中で怠惰 が砕け散り、眼前に開いた大穴からゆっくりと紅髪が浮き上がってくる。
庵さんに言った事は嘘じゃない。通信する余裕はあった――――さっきまでは。これで能力は三本とも使い切ってしまった。あとどれ位粘れるだろうか。
僕の思考を断ち切るかのように紅髪が飛び掛ってくる。しょうがない……今はやれる事をやろうと腹を括った瞬間――――僕の霊刀とあいつの拳が激しくぶつかり合った。
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なんとか全部隊を撤退させる事に成功した。戦線はズタズタになったがシャトルに続く道はここだけだ。この通路さえ守りきればいい。
「庵さん!虚空の援護に行かせてください!」
紅はそう庵に懇願した。庵自身も実際はそうしたかった。だがメギドの起爆までの時間が解らない以上虚空の元へ行かせる訳にはいかなかった。
「庵さん!」
再び懇願してくる紅に言い返そうとした時その虚空から通信が入った。
『……庵さん…撤退は…終わった…?』
電波が弱いのか虚空の声は弱弱しかった。
「ああ、
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