第一章 [ 胎 動 ]
十二話 帝都防衛戦 前編
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「総隊長、最後のシャトルの発進を確認。これですべての住人が月へと向かった事になります」
部下からの報告を聞き庵は安堵した。なんとか間に合ったか。戦場の方も今の所は作戦通りに進んでいる。これなら虚空の援護に向かい共に脱出する事ができる。
庵は作戦を最終段階に移す様に部下に指示を出そうとした。そのとき爆発音が響いた。“帝都の内側”から。
「何だ?何が起きた?」
庵の疑問はすぐに入った通信で解けた。
『総隊長大変です!わ、我々の脱出用シャトルが爆散しました!』
司令室に衝撃が走った。それもそうだろう脱出の術が無くなったのだから。動揺が奔る司令室に一本の通信が入る。
『帝都を守る戦士達よ聞こえるかな?』
こいつは確か議会の斎賀だったな。このタイミングで通信してくるって事は……
「これはテメーの仕業か!!何の真似だッ!!」
斎賀はさも当然と言う風に、
『これは当然の処置だ。新たな帝都にお前達の様な妖怪と変わらない穢れを入れる事などできる訳がないだろう!』
「ふざけるな!確かテメーは守備隊を嫌っていたはずだ!ここには守護団の連中もいるんだぞ!」
『ふん!あやつ等も最早穢れよ!私は新帝都を守る義務があるのだ!』
庵の心は怒りで燃え滾っていた。こんな奴のために!“劉禅様の懸念通りになるとは”
『安心したまえ。君達の事は英霊として新帝都で語り継ごうじゃないか。そう君達は帝都を守るために“帝都と共に散った”と』
斎賀の言葉に庵は違和感を覚えた。何だ、こいつは他に何をした?
『精々妖怪共を引き付けてくれ。君達も妖怪共も「メギド」が始末してくれる!』
「何だと!」
王宮の地下にあると聞いた事がある自爆装置。こいつはあれを起動させたのか!
「何処まで腐ってんだテメーはッ!!!!」
『腐っているのはお前達の様な穢れだ!では最後まで帝都を守り抜いてくれたまえ。ハハハハハッ!』
そう言い残して斎賀は通信を切った。奴への怒りを押し殺し庵は部下に指示を飛ばす。
劉禅様が残してくれた保険を使う事になるとはな。
「すぐに全部隊に帝都のB13区画に向かう様に通達しろ!そこに劉禅様が用意してくださった予備のシャトルがある!」
絶望感に染まっていた司令室は庵の発言で活気を取り戻した。
「はい、すぐに通達を出し…」
『庵さん!大変だ!!』
突如、紅からの通信が入る。
「どうした?」
『さっきの通信を聞いてあっちこっちの分隊が混乱してる。このままじゃ撤退できない!』
再び庵に怒りが込み上げる。あい
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