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東方虚空伝
第一章   [ 胎 動 ]
十二話 帝都防衛戦 前編
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隊に向かってさっきのミミズ妖怪が鎌首を擡げたが次の瞬間その妖怪は何かに木っ端微塵に吹き飛ばされた。

「何を雑魚共と戯れている」

 跡形も無くなった妖怪の背後から紅髪が現れる。あいつを見て分隊の隊員達に緊張が奔るのを感じる。これ以上分隊の手を借りる訳にはいかない。

「援護ありがとうございました。あとは何とかしますので作戦に戻ってください」

 分隊の隊員達にそう言うと返事も待たずに紅髪の元へ向かう。

「ねぇ、ここは邪魔が多いから場所を変えない?」

 僕は周りを取り囲む妖怪を見渡しながら紅髪に提案する。

「ふん、こんな雑魚共を気にするな。邪魔をするなら片っ端から潰せばいい」

 どうやら移動する気は無いか。だけどこいつを主戦場から引き離すのが僕の任務。

「そう。なら無理矢理でも動いてもらうよ!嫉妬(レヴィアタン)!」

 呼び出した瞬間自分の全周囲に向け斥力を放つと紅髪だけでなく僕を取り囲んだいた妖怪達も纏めて吹き飛ばした。妖怪達の中にはその衝撃波だけで砕けるように吹き飛んだ奴もいたが紅髪にはやはり効果は薄いようだ。

「ちっ!鬱陶しい!」

「悪いけど付き合ってもらうよ!」

 剣の切っ先を紅髪に向け連続で斥力を放ちこの場所からあいつを引き離す為に弾き飛ばしていく。

「鬱陶しいと言っている!」

 紅髪は斥力を相殺するつもりなのだろう、右腕に妖力を集めだす――――がやらせはしない。
 斥力を止め今度は逆に引力であいつを引き寄せ、それと同時に二刀を構え全速力で紅髪に向け飛び出した。攻撃の間をはずされ紅髪に隙が出来ている。
 霊刀とエストックを同時に振り抜きあいつの右腕を斬り飛ばした瞬間に更に至近距離から斥力を放ち再び吹き飛ばした。
 弾き飛ばされていく赤髪に全速力で追いつき奴の頭上を取ると地面に向け斥力を使い叩きつける。まるで隕石が墜ちたかの如く激しい衝撃音が響き天高く土煙が上がった。
 さすがの紅髪も凄まじい勢いで地面に打ち付けられた衝撃で動きを止めている。
 普通の妖怪なら今ので粉々になってもおかしくないんだけどな、なんて考えながら僕はそのまま倒れている紅髪を地面に縫い付ける様に嫉妬(レヴィアタン)を奴の胸板に突き立てた。

「ガァァァァッ!!」

「まだだよッ!!」

 僕は剣を突き立てた状態で引力を全開にして剣を残しその場を離れるとその引力に引かれ周囲の岩や木々などが怒涛の様に殺到しまるで出来の悪い芸術作品の様な歪な塊を形成した。
 普通ならこれで圧殺される筈――――なんだけど間違いなくあいつは生きていると勘が言っている。
 僕は剣の使用限界が来るまで休む事を決めるとその場に腰を下ろした。僕に残された切り札はあと二本、なんとしても持ち堪えなければ。

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