第一章 [ 胎 動 ]
十二話 帝都防衛戦 前編
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通信音が引き戻した。
「こちら第8分隊」
『本部の錦月だ。そこに居る七枷に代わってくれ』
通信に出た分隊長に庵さんはそう告げる。
「はい七枷です……なんですか庵さん」
そう問いかける。でも本当は話の内容が予想できていた。
『簡潔に説明する。奴の封印が解けた。そのため予定を切り上げすぐに撤退戦を始める。虚空お前には作戦完了まで奴の足止めを命じる。あと援軍は無いものと思ってくれ』
無感情な声でそう命令してきた。
「な!?待ってください!総隊ちょ…」
庵さんに意見しようとした分隊長を手で制する。いいんです、と言う様に首を横に振る。
この命令は今の状況でもっとも効果的だ。
ただそれが出来そうなのが僕か紅か迦具土さんだけだろう。総指揮を執っている庵さんがする訳にはいかない。僕に命令が来たのはたまたまあいつに一番近かったからだと思う。
結局は誰かがやらなくてはならないのだ。命令を出した庵さんを責める事は誰にもできない。
『早々に作戦に移れ。第8分隊は第4分隊と合流するように』
普段とは打って変わり冷淡に言い放つ。
「……了解しました、総隊長」
「了解。あ、でも――――」
渋々といった感じで返答した分隊長とは違って僕はいつも通りな感じで、
「命令は足止めですけど――――別に倒してもいいんですよね?」
この状況でそんな事を言う僕を見て分隊の皆は唖然としていた。そして通信機からは、
『――――ハ、ハハハハハッ!!あぁそうだな!いいぞ遠慮なくぶっ飛ばして来い!』
いつもの調子を取り戻した庵さんの声が響いた。
『一応通信機は持っていけ。…言えた義理じゃないが…死ぬなよ』
そう言い残し庵さんは通信を切った。
「そういう訳ですので僕は行きますね」
通信機を受け取りながら分隊長に告げる。
「七枷、一応これも持っていけ。無いよりはマシだろう。こんな事しかできんが生きてまた会おう」
分隊長は霊刀と炸裂弾を渡してくる。“生きてまた会おう”正直死ぬつもりなど無い。だからこそ僕は分隊の皆にこう告げた。
「ハハハ、当たり前じゃないですか。それじゃまた後で」
いつもの様にヘラヘラ笑いながらあいつが居るであろうポイントに向かう。妖怪達が動き出したのか戦場に再び喧騒が戻っていた。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
ポイントに辿りついた僕は目の前の光景に首を傾げる。見渡す限りに塵になって消えていく妖怪の成れの果てが転がっていた。
少し先には今まさにあいつに首を引き千切られている虎の様な妖怪が見える。
この惨状を生み出した存在に僕は
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