第一章 [ 胎 動 ]
十話 勝利をこの手に!
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移住計画発動から数日の間は順調に進んでおり、大きな混乱もなく次々にシャトルが月へと向かっていく。このまま何事もない事を全ての人々が願っていた。だがその願いは儚くも砕かれた。
誰も望まない災厄が再び現れたのだ。
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紅髪の姿が遠目に確認できた。作戦開始まであと少しだ。深呼吸をして気持ちを落ち着けていると横にいた草薙連隊長が声を掛けてくる。
「七枷、お前あれとやり合ったんだよな?なんでビビッてないんだ?」
そんな事を聞いてくる。今ここには僕と草薙連隊長だけがいる。庵さんは別ポイント。他の隊員も持ち場に隠れている。作戦の出だしは僕達二人が担うことになっていた。
「ビビッてますよ。逃げたい位です」
虚勢も張らずに正直に答える。
「じゃぁ何で戦おうとしてんだよ?」
「…多分簡単な事ですよ。逃げたいけど逃げたくないからです」
「はは、なんだよそれ」
「意地……みたいなものですかね?それにあいつは『仇』ですから」
脳裏に浮かぶのは銀髪の少女。
「…そうか。あーーーーー!!!くそ!!俺も覚悟決めねーとな!」
パーン!草薙連隊長はそう叫ぶと着合い入れのつもりか自分の両頬を平手で叩いた。
「じゃぁ行くか七枷!あいつをぶっ飛ばすぞ!」
「了解。あと僕の事は虚空でいいですよ」
「そうか、なら俺の事も紅でいい。敬語も無しだ。これから背中を預けあう戦友なんだからよ!」
草薙連隊長はそう言うとニカッと笑った。
「わかったよ紅、改めてよろしく」
そして僕達は災厄の元へと向かっていく。帝都の命運を決める一戦が始まった。
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「傷は癒えたか?」
開口一番そんな事を言ってくる。
「実はまだなんだ。できればあと2週間ほど待ってよ」
冗談めかしてそう答えた。それだけ待ってくれれば全員が無事に月にいける。
「なるほど、だが悪いな俺はそこまで辛抱強くないのでな」
そう言った瞬間奴からの圧力が増した。
「では始めようか」
そう言って奴が動きだす。凄まじい速度で距離を詰めて来た所を僕達は左右に分かれ霊弾で攻撃し奴に着弾すると同時に左右から斬りかかる。
鈍い音が響いた。僕達の刀を両腕で防いだ奴は力任せに振り払う。一旦距離を取り今度は前後から攻撃をかける。
正面から僕が霊弾を撃ち背後から紅が霊刀を振り下ろしたが、しかし紅髪は避ける素振りすら見せずに右手で霊弾を受け左腕で紅の霊刀を受け止めてしまう。
すぐさ
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