第一章 [ 胎 動 ]
十話 勝利をこの手に!
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の程度じゃ死なないか。
「虚空、気合を入れろ。ここからだ」
「最初っから全開ですよ」
「そうか」
短くやり取りをして紅髪に意識を集中する。すると奴から衝撃波が発生し周囲を吹き飛ばすが、僕達はあえてその中に飛び込んだ。
折角の好機無駄にはできない。盾を創り衝撃を緩和しながら奴に肉薄しそして庵さんの剛剣が紅髪の右腕を切り裂く。
「貴様ら!」
同時に僕は槍を創り投擲した。槍は奴の胸板を貫き鮮血を飛び散らせる。そのまま二人掛りで猛攻を掛け次々に奴の身体に傷を与えていくがしかし奴は庵さんの腕を掴み力任せに投げ飛ばした。そして僕に対し衝撃波を纏った拳を振りぬく。
「虚空!」
投げ飛ばされた先で上体を起こしていた庵さんが吹き飛ばされた僕に叫ぶ。さっきのダメージもあり全身に激痛が走るが気力を振り絞り何とか痛みを無視する。ここで寝てはいられないのだ。
視線の先では庵さんが奴と切り結んでいた。流石は武の誉と言われる庵さんだ、奴の攻撃を的確に捌いて反撃までしている。だけど次第に庵さんは防戦に追い込まれていった。
その間に奴の傷が見る間に再生してしまう。全快になる前に仕掛けないと。
「ゴハッ!!」
奴の拳が庵さんの顔面を捉えその一撃を受けて庵さんが吹き飛ばされていく。もう猶予はない。
「嫉妬」
呼び出すと同時に奴に向け斥力を放つ。
「またこれか!これでは俺は倒せんぞ!」
吹き飛びながら紅髪がそう叫ぶ。そんな事は解っている。奴の発言に適わず連続で斥力を放ち続けピンボールの様に吹き飛ばしていく。
僕はその後を追って更に斥力をぶつけ続けた。
「このいい加減に!!」
奴の放った衝撃波が斥力を相殺した。斥力を衝撃波で相殺するなんて本当にふざけた妖怪だ。だけど僕に焦りは許されない。ここからはもう失敗はできないから。
意識を集中する。
「そろそろ終わりにしてやろうか?」
「そうだね、そろそろ終わりにしよう」
奴の問いにそう返した。奴の傷はもう完全に再生している。それに比べこっちはボロボロだ。どっちにしろここで終わらせなくてはいけない。
襲い掛かってくる奴の攻撃をなんとか躱しつつ僕はチャンスを待っていた。今回の作戦において僕の役割の半分は囮だ。こうやってできるだけ奴の注意を引く事。
奴に必殺の一撃を入れるために。そしてついにその瞬間が訪れた。
奴が動きを止めて右腕に妖気を集めだす。その瞬間を見逃さず引力を使い此方に引き寄せる。引き寄せた相手は驚異的な速度でこちらに飛んでくる。
“剣を突き出した庵さんが”
そして背後から紅髪の胸を剛剣が貫いた。
「ガハッ!!」
初めて奴の顔に驚愕が浮かぶ。それはそうだ
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