第一章 [ 胎 動 ]
九話 約束
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。ありがとう輝夜」
僕はもう一度輝夜の頭を撫でる。今度は出来るだけ優しく。
「うっ!?な、撫でるなって言ったでしょ!馬鹿!ムツミ行くわよ!!」
そう言い放つと顔を真っ赤にしながら走り去ってしまった。
「姫様!それでは七枷様、どうか御武運を」
「はい、ムツミさんもまた月で」
ムツミさんはペコリと頭を下げて輝夜の後を追っていった。
「それじゃ私達も行くわね。お兄様、本当に無茶しないでね?」
「わかってるよ。そんなに心配しないで」
「信じてるから。お母様行きましょう」
「ええ〜、コー君〜また月でね〜」
二人は手を振りながらシャトルの方に向かっていき、僕はそれに応えながら見送った。少ししてシャトルは月を目指し空へ上っていった。
それじゃ僕も自分の成すべき事をしよう。気持ちを切り替え僕は兵舎へと向かうのだった。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
守備隊兵舎の会議室。そこに今守備隊と守護団の主要なメンバーが集まっていた。集まった理由はもちろん奴の事だ。
「それではターゲット『紅髪』に対する迎撃作戦会議を行う」
進行役の庵さんがそう宣言する。でも正直あれと正面きって戦っても結果は目に見えている。ここに集まった者のほとんどがそう思っているはずだ。
「何か効果的だと思う作戦の案は無いか?」
そう問いかける庵さんに答える者はいなかった。
「虚空何かないか?やつと直接やり合ったのはお前だけなんだ」
正直に言えば直接戦ったからこそ何も言えない。あれのやばさを思い知らされたから。
「…すいません」
「…そうか。わかった…」
短くそう答える。それだけで庵さんは察してくれたらしい。それから会議はなんの進展もないまま時間が過ぎていった。沈黙が支配していた空間に誰かが自嘲するように、
「はは、いっそ落とし穴にでも落として蓋をするとか…」
「いいなそれ」
「そんなの出来たら苦労はないぜ?」
「まったくだな」
「だったらお前は何かあるのかよ?」
「そ、それは…」
議場に剣呑な空気が漂う。だけど僕には今の発言で一つのアイディアが浮かんだ。とりあえず庵さんに進言する。
「庵さん、一つ作戦を思い付いたんだけど」
「何だ?言ってみろ」
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「…どうかな?」
「確かに悪くはねーな。条件は揃える事ができる」
「だがそんなにうまくいくのか?」
黄泉総団長がそんな疑問を口にする。
「何もしないよりはマシでしょう。俺
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