第一章 [ 胎 動 ]
八話 迫られる決断
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いのです』
という内容だったらしい。当時の反応は「何を馬鹿な」とか「子供の妄想だ」みたいな感じだったらしい。一部を除いて誰もまともに受け取らなかった。
そんな連中に対して永琳が取った方法は実にシンプルだった。技術レベルの向上。今、技術が足りないなら技術力を上げればいい。僅か数年で計画が実現できるレベルまで上げた永琳は本当にすごい。
ちなみに帝都の生活が便利になったのはこれの副産物みたいなものだった。永琳自身も何度か月に上がって調整作業をしていた。
「大丈夫なの?」
僕の問いかけに永琳は少し困ったような顔をした。
「正直に言えば少し早すぎるの。でも現状を考えれば無理をしないといけない。移住と最終調整は同時にすることになるわ」
「そっか。永琳はいつ行くんだい?」
「明日の朝よ。お兄様が月に上がってくるまで会えなくなるわ」
「本当に急だね。それだけあいつが危険だって事か」
紅髪の妖怪。思い出しただけでも震えがくる。できればもう2度と遭いたくない。だけど絶対にまた戦う事になる。でもどうすればあいつを倒せる?あの戦闘力、再生する力。…だめだ何も思いつかない。本当にどうすれば…
「お兄様?」
「ん?あぁごめん、何でもないよ」
永琳を不安にさせたくなかったのではぐらかす。
「…お兄様さえ良ければ明日私と一緒に行く事もできるわ」
「心配してくれてありがとう永琳。でも一緒には行けない」
優しい子だな永琳は――――でも、
「新人だけどさこれでも守備隊の一員として誇りがあるんだ。一人だけ逃げる訳にはいかないよ」
「…そうね、ごめんなさい。なら約束しましょう、無事に月に来るって」
そう言って小指を出してくる。
「うん、約束だ。永琳との約束を破ると怖いからね」
「もう、お兄様ったら。でも6年前みたいな思いをするのは嫌なの。だから無事で」
約束の証として小指を結ぶ。必ず守ると心に堅く誓った。
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