第一章 [ 胎 動 ]
八話 迫られる決断
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こまでも続く銀世界。その中に一箇所だけ開けた場所を見つけた。
呼ばれる様にそこを目指すとそこには七本の剣が刺さっており、その内二本には見覚えがあった。嫉妬と傲慢――――僕の相棒だ。
すると僕の前に一本の剣がゆっくりと近づいてきた。何気に手に取ってみた瞬間――――一面に広がっていた銀世界が黒に染まる。
夢の中で夢に堕ちる様な感覚。それはつまり目覚めるという事。そう確信した時黒の世界に光が差し込んだ。
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目が覚めると同時に体を起こすと目の前には永琳と庵さんが居た。とりあえず挨拶をしておこう。
「おはよう永琳」
突然起き上がった僕に驚きはしていたがすぐにいつも通りに、
「おはようお兄様。気分はどう?」
「あまり良くないけど永琳の顔を見たら気にならなくなった」
「あら、お兄様ったら」
「起きたとたんイチャついてんじゃねーよ。俺には挨拶も無しか」
庵さんが呆れた顔をしながらそんなツッコミをしてくる。
「おはようございます、庵さん」
「あぁ、おはようさん。早速で悪いが現状を教えてやる」
普段はあまり見せない真面目な顔で教えてくれた。僕にとって間違いなく最悪の事実を。
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「美香が……」
「あぁ、見つかっていない」
あいつの最後の攻撃の後、負傷し意識のなかった僕達は後続の部隊に救助されたらしい。だけど美香の姿だけは見つからなかったそうだ。守備隊そのものがボロボロなためそれ以上の捜索はできなかったらしい。
「……それでこれからどうするんですか?」
今は悲しんでばかりもいられない。やらなければならない事がある。
「実は略式だったが俺が総隊長になった。詳しく説明してやりてーがちょっと時間が無くてな。後は永琳ちゃんに聞いてくれ」
そういうと庵さんは永琳に目配せして部屋を出て行った。永琳は少し暗い顔をしたがすぐにいつも通りに戻る。
「実は議会から移住計画の発動宣言があったわ」
『移住計画』元々は何十年か前に提唱された計画らしい。
妖怪が穢れから生まれるのであれば穢れのまったく無い場所を完全に隔離してしまえば妖怪に怯える事も無くなる。さらに穢れを完全に排除できれば人の肉体は朽ちる事も無くなり永遠に近い寿命を得る事も可能、云々だったっけ?
しかし当時世界からもう穢れの無い場所は見つからなくて計画は破綻したのだが、9年前に永琳が新しい移住計画を提唱したのだ。
『地上にもはや穢れの無い場所は無いでしょう。ですが月なら穢れはありません。我々が未来を掴む為には月を目指すしかな
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