第一章 [ 胎 動 ]
六話 指導者
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、お前何もしてないから。
全員が車から降りたのを見計らって執事の一人がこちらにやって来た。結構年配の人のようだがその仕草は若々しさに満ちている。
「おかえりなさいませ姫様、そしてどうぞいらっしゃいました七枷様」
そんな慇懃な態度をとられるとちょっと困る。
「では旦那様がお待ちになっております。私が御案内しますのでどうぞこちらに」
そう僕等を促し屋敷に入っていく。その後を遅れないよう付いて行く。屋敷の中も随分と立派だった。僕には価値の解らない調度品やらがあちこちに飾ってある。
あっちこっちと視線を向ける僕を見て輝夜が、
「ふふん!どう、すごいでしょ!」
勝ち誇ってきた。
「うんそうだね“屋敷”はすごいね」
「…何か引っかかる言い方ね」
「気のせいだよ」
そんなやり取りをしていると、
「こちらの部屋になります。少々お待ちを」
執事さんはそう言うと扉をノックし中に声を掛ける。
「旦那様お連れいたしました」
「解った、入れ」
「ではどうぞ」
扉を開け中へと促す。
部屋には黒髪をオールバックにした目つきの鋭い男性が立っていた。柴色の着物に同じ色の羽織を着ている。身長は僕と変わらない位だけど纏っている威厳というかオーラみたいなものの所為で大きく見える。
「ようこそ我が屋敷に七枷虚空君。私が蓬莱山劉禅だ、よろしく」
なかなか渋い声でそう自己紹介された。
「初めまして、本日はお招き頂ありがとうございます」
「そう畏まらないでくれ、君は客人なのだから」
そう言って笑みをこぼす。あぁ笑い方がなんとなく輝夜に似てる。
「君にはいつも娘が迷惑を掛けている様だからな」
「えぇそうですね、ホントに」
「「「 ……………… 」」」
僕がそう返した瞬間部屋が静寂に包まれた。あれどうしたんだろう?そんな疑問を抱いていると突然静寂が破られる。
「あんたね!!そこは普通『いえ、そんな事はないですよ』って返す所でしょうがッ!!!ていうか迷惑とか思ってたの!!!」
輝夜が噴火した。
「僕、嘘が嫌いなんだよ。それに輝夜よく考えてごらん」
「何をよ!!!」
「真面目に勤務している人間を自分の都合で無理やり拉致していく事を迷惑だと思わない訳ないでしょ?」
「無理やりじゃないわ!ちゃんと約束したじゃない!」
「確かにしたね、“たまにでよければ”って」
「たまにしか行ってないじゃない!」
「あれのどこが“たまに”なんだよ」
輝夜と僕が言い合っていたら部屋に笑い声が響く。
「アハハハハハハッ!!!」
劉禅さんが大爆笑していた。突然の出来事に僕と輝
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