第一章 [ 胎 動 ]
四話 その出会いは…
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模擬戦から数日たったある日、非番をもらった僕の元に鈴音さんから「すぐに来てほしい」と連絡があった。
断る理由など無いのですぐに向かうことにする。家に着くとすぐに鈴音さんが出迎えてくれた。
「ごめんね〜、急に〜呼んじゃって〜」
開口一番そんな事を言ってくる。
「気にしないでください、そんな事」
そんな事を言う鈴音さんに僕はそう答えた。ほとんど家族みたいなものだからそんな遠慮は要らないんだよね。
「実は〜これを〜永琳ちゃんに〜届けてほしいの〜」
そう言って差し出したのは紙の封筒。つまり永琳にとって重要な書類だ。
「永琳が忘れ物?めずらしい」
率直な感想だった。あの子は本当にしっかりしてるからこんなボンミス殆どしない。僕の疑問に答えるように鈴音さんが、
「忘れたわけじゃないの〜、さっき連絡があって〜必要になったから〜使いの人に〜渡してって〜頼まれたの〜」
なんだそういう事か、お兄ちゃんビックリしちゃったよ。でも待てよ。
「それじゃ僕が持っていく意味ないんじゃ?」
使いが来るなら僕は必要ない。なんで届けてほしいなんて…
「永琳ちゃんには〜コー君にお願いするから〜お使いの人は要らないって〜言ったの〜」
「???何故でしょう?鈴音さん」
たまにこの人の考えは読めない。
「だって〜最近コー君は〜お仕事であんまり家に〜来てないじゃない〜」
「いや最近来てないって、まだ数日…」
どこの過保護なお母さん思考ですか。そんな僕の呟きを無視して鈴音さんは続ける。
「永琳ちゃんも〜寂しがっていたから〜ちょうどいいと〜思ったの〜♪まさに〜一石二鳥!」
そう言ってドヤ顔をする鈴音さん。まぁいいんだけどね。
「とりあえずこれを届ければ良いんですね」
「うん、お願いね〜。場所は〜研究所だから〜」
「分かりました。それでは行って来ます」
いってらっしゃ〜い。と手を振る鈴音さんに見送られながら僕は永琳の研究所に向かう事にした。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
帝都の中心に立つ王宮と呼ばれる建物の一角というか、一区画全部が永琳の研究所だ。
帝都始まって以来の天才と呼ばれ様々な研究成果を出してきた永琳は帝都では知らない人はいないほどの有名人である。
そのせいでたまに町を永琳と歩いているといろいろな種類の視線を向けられる。その中で一番強いのが嫉妬である。
アイドルみたいな扱いを受けている永琳の隣に僕みたいな冴えない奴がいるのが気に入らないんだろう。
嫉妬の視線のほとんどは男のものだけどたまに女の子からも睨み付けられる。(噂でしかないけ
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