第一章 [ 胎 動 ]
一話 始まりの朝
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様」って呼んでくれるし良かった、良かった。
「?どうしたの、お兄様」
いつの間にか永琳の事をじーっと見つめていたようだ。
「うん、永琳は美人だなーて思ってた」
「ふふ、ありがとう、お兄様も今日は素敵よ?」
「“今日は”後なんで疑問系?」
「気にしたら駄目よ、お兄様もっと自分に自信を持って」
「まあ、いいんだけどね〜」
いつも通りなやり取りをしていたらいつの間にか外壁守備隊の兵舎に着いたようだ。兵舎の入り口に車を停めてもらう。
「じゃあ、行って来るよ。夜は永琳の家に行けばいいの?」
「ええ、お母様が入隊祝いをしたいからって」
「…合格発表の時もしてもらったんだけどね」
「まあいいじゃない、お祝いをして減るものはないわ」
「そうだね、それじゃ改めて行って来ます」
「いってらっしゃい」
運転手さんにお礼を言い兵舎の方に進んで行く。車を降りる時にこっちを見ていた隊員(多分僕と同じ新人)が居たが僕が視線を向けると向こうに行ってしまった。
同じ新人同士仲良くしようと思ったんだけどなー。なんて考えていたら声をかけられた。
「やっときたな!待ちくたびれたぞ!」
声のした方を向くとそこには大柄な男が立っていた。
「錦月 庵(わたつき いおり)」僕の師匠に当たる人だ。
引き締められた肉体が制服の下からその存在をアピールしているんじゃないかと思わせるほどの気を発し、茶色い髪はすこし長めでボサボサである。切ればいいのに。
髪と同じ色の瞳は力強さに溢れ僕と同じ制服を着ているがネクタイは外し胸元を豪快に開いている。両袖を捲り上げて筋肉質な腕が露になっていた。
実は既婚者で娘が二人居るのだがなぜか会わせてもらった事がない――――ちょうど僕が弟子入りした時に生まれているらしいから五歳か、六歳のはずである。まあ綿月は名門だから箱入りなのだろう。
話はそれるが都には「武の誉」と言われるニ家がある「綿月」と「朔夜」。
代々、外壁守備隊として帝都を守ってきたまさに守護の象徴である。
綿月は強力な武術を持ち素手でも妖怪を滅ぼす。50年前に現れたという30mを越す化け物を当時の総隊長を務めていた綿月の当主がたった一人で倒滅したという伝説もある。
朔夜はその血統に代々受け継がれる強力な能力をもって妖怪を倒してきた。その能力というのが『時間を操る程度の能力』というなんじゃそら!と言いたくなるものである。
そんなニ家がいる外壁守備隊に憧れる若者達も多い。そんな名門に僕が弟子入りできた理由は実は正式に弟子になっていないからである。六年前とある事情で庵さんと知り合ったのがきっかけで個人的に鍛えてもらっていた。
まあこれから
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