DEAR KABY
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文学少女のくせに言葉の使い方が間違っておる。形勢逆転とは勢力の優劣状態が逆になる事・・・人1人とネコが一匹増えたくらいで我輩の魔法『土潜』はやぶれんぞ!」
そう言って地面に潜るエバルー。
「この本に書いてあったわ。内容はエバルーが主人公のひっどい冒険小説だったの」
「何だソレ!」
「我輩が主人公なのは素晴らしい。しかし内容はクソだ。ケム・ザレオンのくせにこんな駄作を書きよって、けしからんわぁぁっ!」
「無理矢理書かせたくせに、よく偉そうな事が言えるな!」
「偉そう?我輩は偉いのじゃ。その我輩の本を書けるなど、ものすごく光栄な事なのじゃぞ」
「脅迫して書かせたんじゃないっ!」
「脅迫?」
エバルーの攻撃をかわしながらルーシィとアルカが叫ぶ。
「それが何か?書かぬと言う方が悪いに決まっておる」
「何それ・・・」
「根本的に腐ってんな。このハンプティ・ダンプティが」
全く反省していないエバルーに、ルーシィとアルカは呆れる。
「偉ーいこの我輩を主人公に本を書かせてやると言ったのに、あのバカ断りおった。だから言ってやったんだ。だから言ってやったんだ。書かぬと言うなら奴の親族全員の市民権を剥奪するとな」
「市民権剥奪って・・・そんな事したら商業ギルドや職人ギルドに加入できないじゃないか!コイツにそんな権限あるの!?」
「封建主義の土地はまだ残ってるのよ・・・」
「こんな腐った奴でもこの辺じゃ絶対的な権限を振るってるんだ、クソが」
アルカの顔は怒りと憎しみで満ちている。
そんな顔のアルカをルーシィは怪訝そうに見つめていた。
まるでエバルーに個人的な恨みがあるかのようで・・・。
「結局奴は書いた!しかし一度断った事はムカついたから独房で書かせてやったよ!ボヨヨヨヨ!やれ作家だ文豪だ・・・とふんぞり返っている奴の自尊心を砕いてやった!」
「自分の欲望の為にそこまでするってどうなのよ!?」
「独房に監禁された3年間!彼がどんな思いでいたか解るか!?」
「3年も・・・!?」
「我輩の偉大さに気づいたのだ!」
「違う!自分のプライドとの戦いだった!書かなければ家族の身が危ない!」
「けど、お前みてぇに腐った人間を主人公に書くなんて・・・作家としての誇りが許さねぇ!」
自分のプライドか家族の身か、ケム・ザレオンは3年もの間、その2つにぶつかっていたのだ。
そして、その間にも誇りが汚される本を書き続けていた。
「貴様等・・・何故それほど詳しく知っておる?」
「全部この本に書いてあったわ!」
「はぁ?その本なら我輩も読んだ。ケム・ザレオンなど登場せんぞ」
「もちろん普通に読めばファンもがっかりの駄作よ。でもアンタだって知ってるでしょ?ケム・ザレオンは元々魔導士」
「なっ
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