DEAR KABY
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文字が飛び出し宙に浮かぶ。
「文字が浮かんだーーーっ!」
「ケム・ザレオン・・・いいえ、本名はゼクア・メロン」
「彼はこの本に魔法をかけた」
「ま、魔法!?」
ルーシィとアルカが説明しているうちに、タイトルの文字が入れ替わって本に戻る。
そこに書かれたタイトルは・・・。
「DEAR・・・KABY!?」
「そう。彼がかけたのは文字が入れ替わる魔法。中身も・・・全てだ」
アルカの言葉が終わると同時に、本が自然に開く。
本から光輝く文字が飛び出し、列を作って宙を舞う。
「おおっ!」
「きれー!」
「彼が作家を辞めた理由は・・・最低な本を書いてしまった事の他に・・・最高の本を書いてしまったことかもしれません・・・」
「息子であるカービィさんへの手紙っつー、最高の本をな」
そして、文字は全て本の中に収まる。
「それがケム・ザレオンが本当に残したかった本です」
「父さん・・・私は父を・・・理解できてなかったようだ・・・」
「当然です。作家の頭の中が理解できたら、本を読む楽しみが無くなっちゃう」
「ありがとう。この本は燃やせませんね・・・」
「じゃあ俺達も報酬いらねぇな」
「だね」
「当然だろ」
「え?」
「はい?」
ナツとハッピーとアルカの言葉にカービィとルーシィが呆然とする。
「依頼は『本の破棄』だ。達成してねーし」
「い、いや・・・しかし・・・そういう訳には・・・」
「えぇ・・・」
「そ、そうよ・・・せっかくの好意なんだし・・・いただいておきましょ」
「あー、ルーシィがめつー!さっきまで結構いい事言ってたのに全部チャラだ」
「それはそれ!」
「ですが・・・」
「いいって。依頼達成してないのに報酬貰ったら、ティアに叱られちまう」
かっかっかっとナツは笑いながら出口に向かって歩いていく。
「かーえろっ。メロンも早く帰れよ、自分家」
「「!」」
「え?」
最後にナツが言い残した言葉にメロン夫妻は驚き、ルーシィは首を傾げた。
「信じらんなーい!普通200万チャラにするかしらー!」
「依頼達成してねーのに金貰ったら、妖精の尻尾の名折れだろ」
「あい」
「全部上手くいったんだからいいじゃないのよぉっ!」
「そーゆー問題じゃねぇんだ」
その帰り道、ルーシィは報酬が貰えなかった事に文句を言っていた。
行きは馬車だったが、帰りは歩きである。
「はぁー・・・あの人達、お金持ちじゃなかったのかぁ・・・作家の息子のくせに何でよぉー。あの家も見栄を張る為に友人に借りたって言ってたし・・・そんな事しなくても、依頼引き受けてあげたのにね」
「どうかな?」
「引き受
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