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銀河英雄伝説〜悪夢編
第二十六話 青天の霹靂って知ってるか
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:ルグランジュ中将の四個艦隊が留守部隊として残っている。もっとも第十一艦隊は前回の戦いで半壊している。現状では再編中と言うのが実情だ。

総参謀長のオスマン中将が近づいてきた。
「閣下、間もなく第十艦隊が回廊の出口、帝国領に入ります」
「そうか、第十二艦隊は直ぐ後ろに居るのだな?」
「はい、何時でも援護は可能です」
「分かった」
シトレ元帥が頷いた。

「総参謀長、帝国軍は我々を待ち受けていると思うかね?」
「可能性は有ると思います、しかし小官なら同盟軍を帝国領奥深くに誘います」
「そうだな。私もそうする……」
私もそうするだろう、同盟軍がもっとも嫌がる作戦だ。
「ゆっくりと進ませてくれ、急ぐことは無い」
「はっ」
シトレ元帥が大きく息を吐いた。

第十艦隊、ウランフ提督から連絡が有ったのは二時間後だった。
『回廊の出口付近に帝国軍艦艇は見当たりません。どうやら帝国軍はここでの防衛戦は考えていないようです』
「そうか」
やはり帝国軍は同盟軍を奥深くに引き摺り込もうとしている。

『それより総司令官閣下、妙な通信を受信しています』
ウランフ提督が困惑した様な表情をしている。
「妙な通信?」
『救援要請ではないかと。どうもダンクからではないかと思うのですが、受信状態が悪いためはっきりとは分からないのです。向こうの出力が弱いのだと思いますが……』
今度はシトレ元帥が表情に困惑を浮かべた。ダンクは出口付近に存在する惑星の筈だが……。

「総参謀長、貴官の意見は」
「帝国軍の罠の可能性が有ります。出口で待ち受けず油断させる。その上で救援要請を出し同盟軍を誘き寄せて叩く。この場合、帝国軍は少なくても二個艦隊以上は居るはずです」
「うむ」
オスマン中将の意見にシトレ元帥が頷いた。

「ウランフ提督、総参謀長の言う通り罠の可能性も考えられる。よって単独で進むのは止めてくれ。ボロディン提督の到着を待って通信の発信元に向かってほしい」
『了解しました、第十二艦隊の到着を待ちます』
「うむ」
ウランフ提督の第十艦隊とボロディン提督の第十二艦隊は同盟軍でも精鋭と言われる艦隊だ。たとえ帝国軍が待ち受けていたとしても十分対処は可能だろう。



宇宙暦796年 10月 15日  イゼルローン要塞 遠征軍総司令部  ヤン・ウェンリー



「占領したクラインゲルト、ダンク、ハーフェン、モールゲンにはいずれも帝国軍の姿は有りませんでした。そしてどの惑星も食料を帝国軍によって接収されています。現状では軍から食料を供出しています……」
オスマン参謀長の言葉に会議室の空気が重くなった。

「どうやら帝国軍は辺境星域において焦土作戦を行おうとしているようです。今後同盟軍が進攻すれば敵意を露わにした帝国軍で
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