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パンデミック
第五話「弱者の足掻き」
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ーーー作戦開始から3時間


レッドゾーンの至るところで新兵達の悲鳴や叫びが聞こえる。
それと同時に……肉が千切れるような、潰れるような音も。

グチャッ ゴリッ ブチブチ メキャッ ビチャッ


「ぎぃああぁぁぁあああ!!!」

「助けて……」

「くっ来るな!来るなあぁ!」

「誰かぁ!」

「衛生兵を呼べぇ!急げ!」

「………死にたくない…死にたくない……」

「ヒイィィ!」

「うがっ……ゴフッ」











ここは……………………地獄?

ついさっきまで爆撃機の中で見かけた同期が……

目の前で無惨に殺されていく。

周りを見渡しても、見えるものは決まっている。

血の海、肉片、千切れた手足………


もういいよ……もう沢山だよ………


ここで……私も…あんな風に死ぬのかな……

怖い……怖い……怖い……

誰か………



ユニは建物の陰でうずくまって、震えていた。
恐怖で涙が止まらない。
悲鳴や叫びを遮断するために耳を塞ぐ。

ーー同時刻


「クソ、クソ、クソ!」

血の海の中で、足掻き続ける兵士が一人。

「クソッタレがぁ!」

新兵の一人、ソレンスだった。
怒りを武器に、感染者を次々と葬る。

感染者の一体が、ソレンスを引っ掻こうと腕を振る。

「チッ」

舌打ちし、側転で回避する。
がら空きになった脇腹に素早くナイフを突き立てる。
更に怯んだ隙に、脚を蹴り、バランスを崩させる。

「くたばれ」

バランスを崩し、膝をついた感染者の頭を斬る。

「ガッ……グギギ………」

耳障りな断末魔を発し、感染者は絶命する。

「こいつで最後か……他の連中は生き残ってるのか?」

感染者がいなくなり、仲間を探し始めたソレンス。
13人いたチームも、今や彼を除いて4人しか生存していない。
その4人も、途中ではぐれてしまった。

生存している兵士を必死に探し続ける。
しかし、生きているのをまともに確認できるのはベテランの兵士
ばかりで、新兵はろくに姿を確認できない。

「ハァ、ハァ……頼む、生きててくれ…!」

走りながら、新兵を探し続ける。

「オルテガ…ユニ…フィン…アイツらもいない……」

同期の中でも特に親しかった彼らを思い出す。
まさか、アイツらも感染者に……
一瞬、最悪のビジョンが浮かんだ。
そんな考えを振り切るように、走るスピードを上げる。


ーーその時だった

「……ん?あれは…」

建物の陰に誰かがうずくまっている。
よく見ると、震えていた。

「あ
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