第一部
第四章 〜魏郡太守篇〜
五十 〜伏龍〜
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。では、私は如何に?」
興味津々と言った風情の星。
「え? 趙雲さん……ですか?」
「うむ、興味がありますな」
「あ、あの……。お気を悪くしないで下さいますか?」
「貴殿の知るところは、世の評価。そう考えますぞ」
諸葛亮はまだ躊躇っていたが、
「……わかりました。そこまで仰るなら」
意を決したように、大きく深呼吸を一つ。
「趙雲さんは、朱槍を自在に操り、突破力に長けた将で、ここ最近は騎兵を用いての戦で頭角を現しています。武だけでなく、冷静な判断力を併せ持ち、土方さんの軍で中核的存在となっています。……あと、お酒とメンマが大好物、と」
「ふっ、まさに星そのものだな」
「うむ、よくおわかりですな。ちなみに、主はどうですかな?」
「はわわっ、ひ、土方さんについても、ですか?」
諸葛亮は、上目遣いに私を見る。
「構わぬ、有り体に申すが良い。それで判断を左右するような真似はせぬ」
「わ、わかりました。土方さんは、ずば抜けた戦略眼と指揮能力を持ち、慎重さと思い切りの良さ、両面を備えています。ご自身の腕前もかなりのもので、いろいろな知識とか発案もお持ちとか。その上、大陸の諸侯でも指折りの人材が揃っている、と」
「……どうだ、星」
「はっ、主を的確に言い表せているかと。人物を見る眼は確かなようですな」
誉められたせいか、星は上機嫌そのもの。
諸葛亮も、それで得意気にならぬあたりは、流石と言うべきか。
……私自身については多少、褒められ過ぎの気もするが。
「人物評は一先ずそこまでだ。さて、敵の布陣はこの通りだが」
「はい。ちょっと、失礼しますね」
そう言って、懐から何かを取り出し、広げる諸葛亮。
「諸葛亮殿、それは?」
「あ、はい。この辺りの詳細な地形図です」
「この辺りだと? 何時の間に用意したのだ?」
「あ、いえ。大陸の主なところは、一通り持っていますが」
ふむ……地形は確かに戦の優劣を左右する要素の一つ。
それを大陸ほぼ全て網羅しているとは、それだけで途方もない価値があると言えよう。
諸葛亮は敵の布陣と地形を見比べていたが、
「此処に、袁紹さんの軍を二手に分けて進め、背後から土方さんが突入する、というのはどうでしょうか?」
と、敵陣の一つを示した。
「根拠は何か?」
「はい。この部隊が、一番黄巾党残党が多いそうですね? 当然、中核となる部隊ですから、これを叩けば他の隊は鎧袖一触かと」
「ですが諸葛亮殿。それだけ、精強な部隊という事も言えますな。当然、我々の被害も大きくなるのでは?」
「そのまま当たれば、その恐れは十分にあるかと。その為に、袁紹さんの部隊に出ていただく訳です」
「……つまり、袁紹殿の隊は大人数で目立つ。それを囮に、という事だな?」
「そうです。もともと、袁紹
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