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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第9話:帰港中の一幕
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ながら首をひねっていると、聞きなれた声がゲオルグの耳に入る。

《大丈夫ですか?》

レーベンの声でゲオルグは我に返り、同時になぜ自分を囲んでいたターゲットが
消え去ったのかを理解した。

「レーベンが訓練プログラムを止めてくれたの?」

《ええ、訓練プログラムとはいえさすがに危険を感じましたので》

「ありがとう、レーベン」

《どういたしまして。 それよりも言いたいことがあるのですが・・・》

レーベンが語尾を濁したことにゲオルグは違和感を感じ首を傾げる。

(いつもはなんでもスパッと言うのに・・・どうしたんだろ?)

内心に疑問を抱きつつゲオルグは頷いてレーベンに先を話すよう促す。

《マスターはいつになったら戦闘中に油断するクセを直すのですか?》

レーベンの問いかけの形をした非難にゲオルグは顔をしかめる。

「・・・ゴメン」

《謝っていただかなくていいですから、しっかりしてください。
 でないと痛い目にあうのはマスターなんですからね》

「うん、わかってるよ。 ありがとう」

ゲオルグはそう言って笑う。
レーベンを待機状態に戻すとゲオルグの服装がトレーニングウェアへと変わった。
訓練スペースから出たゲオルグはシャワールームへと通路を歩いて行く。
入港中の艦内は航行中と違って人員が最小限しか配置されていない。
そのためか通路を行く人の姿も極端に減っていた。
とはいえ人通りが全くなくなったわけではなく、ゲオルグは途中ですれ違う
ほかの乗組員たちとにこやかに挨拶をしながら、シャワールームへ向かった。

ゲオルグが入ったとき、シャワールームの中は他に誰もおらず、
しんと静まり返っていた。
ゲオルグは制服が入ったバッグとバスタオルをロッカーに放り込むと、
Tシャツを脱ぎ始めた。

「ひゃっ!」

背中に冷たいものが押しあてられる感触で、ゲオルグは甲高い悲鳴を上げる。
ゲオルグが慌てて振り返ると、そこにはニヤニヤと笑うヒルベルトが立っていた。
その手には缶入りのスポーツドリンクが握られていた。

「何するんですか!?」

ゲオルグがヒルベルトの顔を睨むように見上げながら非難の声を上げた。
だが、ヒルベルトは涼しい顔で受け流す。

「ちょっとした悪戯だよ。まあそういきり立つなって」

ヒルベルトの邪気のない笑顔にゲオルグは毒気を抜かれてしまい、
小さくため息をついた。

(もう、さっさとシャワーを浴びよう・・・)

ゲオルグははいていたトレーニングパンツを脱ぎすてると
シャワーのあるブースへと向かう。
目を閉じて少し熱めの湯を浴びていたゲオルグは、隣のブースに
誰かが入ってきた気配を感じ取り、その目を開いた。

「なあ、ゲオル
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