暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜妖精郷と魔法の歌劇〜
バケモノは猫をも喰らう
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その中で、レンは大きく舌打ちした。

吹き飛ばしたまま放って置いたのは、やはりまずかったか。意識を取り戻し、反撃の隙を与えてしまった。

せめてリメインライトを確認するまで攻撃しておくべきだった。

そんな後悔の念が浮かび上がると同時に、レンの目はそれに比例するように冷たく、鋭くなっていく。

それはまるで、一本の刃。

冷たい絶対零度の中で研ぎ澄まされた、美しくも残酷な刃。一片の容赦もない、冷たき刃。

───ならば、今度は欠片も残さず『喰ラッテヤロウ』。

胸中で呟くとともに、時は再びその息吹を吹き返す。

止まっていたセイの身体と、それにタイミングを合わせたリョロウの身体が同時にじりじりと動き始める。

その動きはたちどころに大きくなり、この身体をかき消すほどの剣戟を叩き込むだろう。

だがレンは、己の心意を防御には回さなかった。

ありったけの過剰光を足に集め、さらに意識を集中させる。因果さえも歪める、その力を信じて。

時が再び、動き出す。

元の凄まじい速さで繰り出される二つの攻撃を、しかしレンはそれほど意識に置いてはいなかった。

ただ、スキップするかのように独特なステップを踏む。

瞬間、二人の得物は空しく地面を叩き、絶大な衝撃とともにクレーターを出現させた。

地走(じばし)り》

レンが編み出し、今のところレンだけしか習得することを許されていないシステム外スキルである。

リョロウとセイのいる座標から数メートルも離れた場所でゆっくりと立ち上がりながら、レンは油断のない視線で突っ込んできたセイを見、そして喘いだ。

セイの手に握られていたのは彼の愛剣である片手剣《スターチェイサー》ではなかった。

「《撃退(アイムール)》」

過剰光の塊としか形容できない、細長い棒の形をした────

「神装………」

レンは、呆然と呟いた。
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