崑崙の章
第22話 「みんなぁ、ただいまっ!」
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方なのですが……」
「男が、どうしたのだ?」
?
なにをそんなに口ごもっておるのだ?
たしかこの者は、宛からついてきた義勇軍の古株だったはず。
能力も人柄も素晴らしいものがあり、警官の中でも人望がある最も頼れる警官の一人だ。
それがこうまで口ごもる……どういうことだ?
「その方は、関将軍を抱えたまま走っておられまして……」
「……は?」
雲長殿を、抱えて……?
あの関羽殿が、身体を預けることを許す相手……?
ま、ま……まさか!?
「そ、その男は! いや、その御方は、まさか!?」
―― 趙雲 side ――
「ふははははははははははっ! もう逃げられませぬぞ、虫ぃぃぃぃぃぃっ!」
私は漢中の外壁に、その黒い服をまとったモノを追い詰める。
ソレは……愛紗をその両腕に抱きあげたまま、周囲を見て……壁にその背を預けた。
ふ、ふふふ……ついに観念したようですな。
「お、おおおおおおお落ち着こうか、星! なんかわかんないけど、話しあおう!?」
ほほう……この虫は、まだそんなことを言いますか。
この期に及んでよくもまぁ……なかなかよいご覚悟ですな。
「はぅ……」
その腕の中で顔を真っ赤にしたまま、小さくなっている愛紗。
なぜだろう、なぜでしょうかね。
ものすごく腹が立つのですが。
「ふふふふっふふふっふふふふうっふふ……黒い虫の人よ。この期に及んでそんなに見せつけまするか。よいお覚悟ですなぁ……」
「……へ?」
ぽかんとした馬鹿貌で、口を半開きに開けるのはやめなされ。
「命の危機だというのに、私の目の前でよくもまあ、いちゃいちゃ、いちゃいちゃと……」
「いちゃ……あ、ああっ!?」
「………………(もじもじ)」
私の言葉に、ようやく自分の腕の中で身を縮める愛紗を見る、黒い虫の君。
ふふふ……見せつけてくれますなあ。
よいお覚悟です。
「い、いや、これは不可抗力というか……というか、星がいきなり武器振り上げて追いかけてくるからであって!」
「ふふふ……ご遺言は、終わりですかな? では……そろそろ退治させていただこうか!」
「いや、ちょっとまてぇ! と、とりあえず、愛紗は降りて!」
と、ようやく愛紗が黒い虫の腕から離れる……
今が好機っ!
「ハッ!」
その隙に、黒い虫の人の眉間へと、割と本気に槍を突く。
だが、相手はその矛先を首の動きだけでなんなく避けた。
そのまま愛紗から離れて距離をとる。
そして私が愛紗の傍へと歩を進める。
「せ、星! 戯れが過ぎるぞ!」
「愛紗……悪いが、手を出さないでもらい
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