暁 〜小説投稿サイト〜
箱庭に流れる旋律
歌い手、メイドができる
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

 ぱっと見ただけでも、かなり鍛えられていることが分かった。

「ま、不意を打っての決闘だからな。勘弁してやれよ」
「僕の相手をした人たちも、何にもできない間に眠らせたから、何にもできないよ」
「そんなことは関係ない、名無し風情を僕の前に来させた時点で重罪さ」

 そう言いながら、彼は再び空を舞い、ギフトカードから燃え盛る炎の弓を取り出した。
 あんな武器、ペルセウスの神話に有ったっけ?

「それ、神話とは関係ないぶきだな?」
「当然。空が飛べるのに同じ土俵で戦う必要はないだろ?それに、メインで戦うのは僕じゃないし」

 そういいながら、首につけていたチョーカーから蛇の髪を持つ女の首の装飾を外し、それを掲げて、

「目覚めろ――――“アルゴールの魔王”!!」

「ra、GYAAAAAaaaaaaa!!」

 元魔王を、開放した。
 その女性は体中を拘束具によって捕縛されていたが、それを引き千切りながらさらに絶叫を上げる。うん、かなりうるさいです。ここまで不快に感じる音は、早々ないと思う。

「へえ、あれが元魔王様か・・・奏!あそこまで自信満々だったんだ、あれはオマエでどうにかしろ!!」
「まって!僕はただの歌い手だよ!?あんな化物、一人でどうにかする術は持ってない!!」
「作戦があるんだろ!ルイオスがいくら強くなろうが問題ねえ!」

 ああもう!なんで君はそんなに楽しそうなのかな!?人に化物押し付けといて!

「仕方ないか・・・まあ、さすがに危険だと思ったら助けてくれるだろ。・・・では、お聴きください。“ペルセウスのテーマ”」

 そして僕は、歌う。
 この曲は題名の通り、ギリシア神話における英雄、ペルセウスのテーマソングだ。
 そして、歌い始めるとすぐに、あるところで変化が起こる。

「へえ、この曲は僕の祖先、英雄ペルセウスのテーマじゃないか!しかも僕の霊核が上がっていく・・・そうか!そいつは“音楽シリーズ”のギフトの持ち主か!」

 そう、この曲はルイオスの祖先についてのテーマなので、その血を引く彼の霊格を上げてしまうのだ。
 でも、それ以外のところにも変化は現れる。目的はそっちだ。

「GYAAAAAAAAAAaaaaaaa!!」

 この曲を聴いたアルゴールの魔王は、苦しそうに悲鳴を上げる。
 そう、変化が起こる対象は、英雄ペルセウス(・・・・・・・)によって倒されたアルゴールの魔王だ。
 ペルセウスのテーマには、もちろん蛇の魔物退治の逸話も含まれている。

 その逸話を歌えば、倒された張本人であるアルゴールの魔王の霊核は落ち、ダメージを与えることも可能なのでは?という憶測だったのだが・・・どうやら賭けには勝てたようだ。

「ど、どうした、アルゴール!?」
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ