霜巨人の王
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切っていたらしい
動きを止めたスリュムを見て後ろからキリトの叫び声が飛ぶ
「羽虫共め。よくも儂の手をここまで煩わせてくれたのぅ。よかろう。儂の息吹で吹き飛ぶがよいわ!」」
そう言うとスリュムは先程までのブレスの時とは比べものにならないほど顔を後ろに反らすと、俺達が吸い寄せられるほどの勢いで空気を吸い込み始めた
「マズっ……!」
リーファがとっさに吸引力を弱めるための風魔法を唱え始めるが、結構高位の魔法のため詠唱時間は長い
間違いなく間に合わない
故に俺は金色の山に仕掛けていた仕込みを発動させる
粗く張り巡らせていた鋼糸、言うなれば簡易的な笊の様なものを重さに耐え切れず、何カ所かちぎれるのにも構わず、一気に引き上げる
そして、宙を無数の金色が舞った
地面に合ったときは風に当たる面積が狭く、影響は極めて少なかったであろう
しかし、宙を舞っている今、その面積は増加している
つまり、何が言いたいのかと言うと、止まっている人間でさえ飛びそうな風に、すでに初速が与えられている金銀財宝が吸い寄せられないはずがないということだ
「うぐっ!? ゲホッゲホッ……」
「チャンスだぜぇぇ!」
景気よく吸っていたスリュムは喉に異物が入ってきたためにその行為は途中で中断せざるをえなくなる
これを好機と見たクラインが真っ先に鬨の声をあげて突っ込む
もちろん、好機だと思ったのはクラインだけではない
クラインから遅れること一呼吸。前衛が全員スリュムに向かって突っ込んだ
俺は突っ込むのに邪魔となる宙にある鋼糸を回収してからスリュムに向かって走り出す
「羽虫の分際でよくも、よくも……よくもぉぉぉ!!」
息を整えたスリュムは攻撃しているキリトたちには一切目もくれず、俺だけを見据えて激昂した
そして、両手に息を吹き掛ける
すると巨大な氷でできたバトルアックスがスリュムの手に生まれた
「まずは貴様から潰してくれよう。そして永遠の苦痛に満ちた冥府の海に叩き込んでくれるわ!」
「……目茶苦茶嫌われたらしいな」
スリュムがバトルアックスの調子を確かめるように頭上で振り回している間にバックステップで後ろに下がる
「ぬぅん!」
気づいた時には目の前でスリュムがバトルアックスを振りかぶっていた
「なっ……!?」
逸らせたのはこれまで鍛えに鍛えた反射神経の賜物だろう
移動スピード速すぎてテレポートしたかのように見え、振り下ろす際のスピードも見えるとはいえ先程までとは段違いで、バトルアックスが霞んで見えた
「どうした羽虫。儂を殺すのではなかったか? ンン?」
答える余裕はない
スリュムは軽口を叩いているがバトルアックスのスピードはさらに増していっている
そし
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