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連邦の朝
第35話 天秤
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ンは、ゲルマニアとの交易をしているがその交易には、彼ら国境貴族の領地を越えねばならず普通は領地にトリステインの護衛兵が入り込んだり馬車鉄道建設時には、大量のトリステインの労働者が入る事を理解していて断る筈である。しかし、最早大半の国境貴族らに断る気力も財政的余力も無くなっていたのである。

財政的余力、気力これだけの理由なら国境貴族達は見栄で断る者もいる。
だが、トリステイン諜報部がかなり前から動き国境貴族達の使用人や兵士、愛人(貴族の夫人から貴族本人、子息やその屋敷の重役を担う家臣、その領地の村長や町長、兵団長等の有力な情報源全体)、有力な情報源の配偶者になったりはたまた、領民に紛れ込んだりした。どの仕事をしている諜報員も情報収集や対ゲルマニア感情を悪くしたり、対トリステイン感情を良くしたりした。
加えてブリティッシュ商会も国境貴族達の領地の半数以上や場所によっては全ての商会や商店を乗っ取り世論操作や情報操作、色々な物資の価格操作等の上に予てより念入り行われていたトリステイン軍の地道な活動が実を結んだ結果が、この会談である。

勿論、トリステインが何をしたかを知るものは居ない。ワイアットが大まかな指導要項と諜報の教本を作り、そこにリッシュモンも加わり指導し、更に諜報員達の経験をまとめて、教官たる人物を作り、徹底的に諜報員教育と同時に防諜対策をしていたからだ。

「辺境伯、トリステイン側の目的は?」
カールが、聞くと辺境伯は答えた。

「あれほど入念に作られた防壁と掘を作っているのだ、ゲルマニアを警戒しているに違いない。そこで、中央から見捨てられた我々を救い、戦力を減らさず更には、戦争をせずに国土を拡げる気なのだろうよ…」
辺境伯は、苦い顔をしながらカールに説明した。

「それは…ところでこんな会話をしてても大丈夫なんですかね?
カールが、焦りを浮かべた表情で聞いた。

「勿論だとも、風の魔法防音をかけているからな…何よりカール、君が居たら何をしても無駄だろう?」
辺境伯は、口元だけに笑みを浮かべた。

「っ…あ、なんですかね?それは?」
カールは、一瞬狼狽した様に見えたが直ぐに表情を元に戻して聞くのだった。

「お前、トリステインから潜入してきた者だろう?誤魔化さなくてもいい、わかるさ。それぐらいはな…」
辺境伯の口が大きく裂けたと錯覚するほどに笑みは、大きくなった。

「何時から?」
カールは、平然と聞いた。

「お前が入ってきて数日経ってからかな。どちらにせよ、私達は断れる立場にはない。」
辺境伯は、楽に答えた。

「そうですか…情報源にした気が情報源にされていたのですか…」
カールは、フフっと笑い本棚に近づいた。すると本棚がずれて階段が現れた。

「では、こちらでお話をしましょうか
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