しょうがないよね、効かないの彼だけだし。
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殺しにすら効く精神汚染なんて、通常の人間じゃ耐え切れないの。周囲の人間の生存は絶望的。諦めたほうがいいの。」
防御能力はアウター1とまで言われた彼女の防壁を容易く抜いて、本来魔術などが通用しない神殺しの精神を犯して見せた。間違いなく、クトゥルフ神話の神々が持つこの権能は、最上位の精神攻撃である。近づく事すら困難なのだから。
しかも、これで精神汚染にのみ特化しているのならまだいい。・・・しかし、原作的には、クトゥルフの神々は一柱でも出現すれば地球滅亡の危機とさえ成りうる神々なのである。戦闘能力も最上位。手がつけられない状態であった。
「これを飲むといい。気が楽になる。よく、その程度の汚染で戻ってきたね。これならすぐに治るよ。沙穂くらい汚染されていると、完治も難しくなる。」
薄れゆく意識の中で自分の状況を感じ取った鈴蘭は、理性が残っている内に撤退した。これが、沙穂のように完全に狂わされてしまえば、彼女のようにベッドに拘束した上で、様々な治療を受けなくてはならなくなる。
「・・・護堂君に任せるしか・・・ない、ね・・・。」
漸く喋れるくらいにまで回復した鈴蘭が、途切れ途切れに話す。・・・しかし、その言葉に翔輝が反対した。
「しかし、神殺しになったばかりの彼に、戦いを連続でさせるなんて!」
「仕方があるまい。そもそも、わしらでは近づく事も出来んのじゃ。このわしですら、近づけば汚染される。恐らく、世界中全てを食い尽くしたくなるじゃろうな。翔輝よ、主は、自分で世界中を荒らし回りたいのかの?」
みーこの言うことは正論であった。せっかくまつろわぬ神を倒せても、自分が汚染されてしまえば意味がないのだ。世界の全てを正しく認識出来なくなり、闇雲に暴れまわる化物が生まれるだけ。
確かに、汚染には個人差がある。とは言え、『自分は汚染されない』と自信を持ってい言える者がいるだろうか?みーこですら、『汚染される』と言い切った。鈴蘭でさえ、汚染されかかった。そして、完全に汚染された人間がどんな行動を取るのかは、サルデーニャ島の住民と、沙穂が証明している。
「今、『汚染されない』と確実に言えるのはあの男のみ。ならば、あやつに任せるしかあるまい。もし奴が失敗したら、その時は主らが戦えばよいよ。」
「・・・クソッ!」
自分の力不足に嘆く翔輝。こうして、護堂が知らないうちに、第三、第四の戦いの予約が終わっていたのだった。
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