第五十話 戦場は宇宙へ
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った時が、人類の終わりなのかもな……」
ネオはせめてそうならないことを祈るとばかりに視線をコロニーレーザーから離さずに見ていた。
◇
以前の三種の駒がいたチェス盤を眺めながらデュランダルは駒に触れる。透明な駒は既にほとんど失われている。キングは転げ落ち、隣にいたビジョップは踊らされるように黒の目の前に差し出すかのような位置にいる。その隣には二つのルーク。
盤面が埋め尽くすのは黒ばかりだ。白の駒もないわけではないが数だけで見れば黒の方が多い。特に、白は彼らにとって最も重要であろうクイーンが完全に孤立している。
「しかし、あの時落とせなかったのは誤算というべきかね―――或いは、これもまた予測できたことか?」
笑みを崩すことなく、黒の駒を動かす。連合を指し示す片方の透明なルークは白のクイーンの目の前にいる。それが指し示すのは一体何か?
「出来れば、私に可能性を見せて欲しいのだがね。それもなく、お別れとなることを祈ってもいるよ」
そして、そう言って盤面の白のクイーンの傍に居なかった方の透明なルークを動かし、少したった後―――レクイエムが発射され、プラントの一角が崩壊したことを告げられた。だが、デュランダルは表向きこそ焦った様子を見せるが、内心では思惑通りに事が運んだことにほくそ笑む。この戦いでプラントにも被害が及んだという事実、これが彼にとっては必要だったからだ。地上に住む人間にとってはプラントの戦力がそのまま残っているというのは恐怖でしかなく、世論はロゴスを討った所でしばらくすればプラントを敵だと祭り上げるだろう。
その前にデスティニープランの実行によってそれを封鎖する気ではあるが、傷ついた者どおしだからこそ手を取り合える。一方的な支配では意味をなさない。だからこそ、この被害は必要だった。
「すぐにでもその大型兵器を止めるぞ!休んでいるだろうミネルバには悪いが、彼らにも発進を伝えてくれたまえ!」
そうして、総ては彼の思惑通りに事が運ぶ。
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