第五十話 戦場は宇宙へ
[1/5]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
核が実際に存在していたことがザフト軍の手によって証明されたことで、戦闘は終了する事となった。本来ならば、核を止めた時点で再び戦闘を再開することになるのだろうが、強硬策に出たセントへレンズの艦長の失態を含め、タリアとグラスゴー二人がこれ以上の戦闘継続は無意味だと発言したことから、撤退の信号弾が放たれ、戦闘は終了したのだ。
「しかし、艦長!これは彼らにまた新しい勲章が必要になりそうですね!もしかしたら彼らの為にネビュラ勲章以上の新しい勲章が作られたりなんて!」
アーサーは天然なのか、それともロゴスを逃したという悪い空気を払拭するためにわざとしているのか。核を止めた三人の事で場を盛り上げようと歓喜を表すが、タリアはどちらかといえば疲れの方が大きかった。オーブ戦に現れた所属不明機、ロゴスを脱出させてしまった事、核爆発の緊張―――これらの要因が原因で頭痛になりそうだ。
元々、核爆発の規模そのものだけなら威力にもよるが、ザフトにとって被害は軽微で済んだだろう。だが、核による爆発が起きれば、同規模の爆発兵器やEMP攻撃よりも危険度が高い。現在ザフトは世論では支持され、正当性を認められているわけだが、だからといってこちらが侵略国であることに変わりはない。
そんな中で、もし仮に核が爆発していたなら、まず第一にロゴスが批判に挙げられるが、ザフトだって元凶となった侵略国として悪役に仕立て上げられてもおかしくないのだ。地上での核爆発が与える影響は宇宙で放たれる核などとは比べるまでもない。オーブという島国の位置を考え見るに、核による汚染の被害は甚大なものとなる。貿易風や複雑な海流によって流され、様々な国に影響を及ぼすだろう。無限希釈によって薄まるだろうか?それでも影響は甚大であることに変わりはない。近くに別の国もあることから国際的にも大きな被害となる事は確かだ。
そんなギリギリの綱渡りだったことなども理解できず、セントへレンズの艦長は戦闘を続行させようとしたのだ。無能、というわけではないのだろうが視野が狭いとは思わざる得ない。
『心中お察しするよ。私も同じ気持ちだろうからね』
ラー・カイラムの艦長であるグラスゴーからの通信を聞き、タリアは同意してしまう。これから議長への報告を含めて、多くの厄介ごとばかりだと―――そう思ってタリアは深い溜息をつくのだった。
◇
核を仕掛けたのはロゴス。オーブへと逃げ込んで攻撃のための正当な理由を作ったのもロゴス。そして、それらの危機を救ったのはザフトだ。これ以上ない正義の味方という奴だ。今頃デュランダル議長は喜々としてこの状況を利用しようと画策していることだろう。尤も、オーブを落とせなかったのは本人にとって誤算なのかもしれないが。まあ元々オーブ軍は厄介だという事も理解していただろ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ